サポの心をもてあそぶな
フロントにひとつ良いことを教えてあげよう。 サポーターというのは基本的に保守的だ。 チャレンジして失敗するくらいなら、チャレンジしないで失敗する方を選ぶ。
けど、それは必ずしも間違っているとは言いきれないのでは?
フットボールクラブというのは無形資産の塊だ。 選手の能力や数値ではなく、いろんなストーリーや伝説が寄り集まったものをサポーターは愛し、誇りに思っている。
例えば、あの選手は高校時代には選手権とは無縁だったけど、ウチが見つけてきたんだよ、とか、この選手はユース時代は怪我に泣かされたけど、プロに入って見事に成功したんだよ、とか、その試合は序盤劣勢だったけど、奇跡的な大逆転で勝ったんだよ、とか。 そういう物語や評判や歴史の蓄積をサポーターは愛するし、その積み重ねがクラブの「格」やブランドを産むのだと思う。
だいたい藤山や浅利がなんでサポーターに愛されているかを考えてみればいい。 藤山は高校同期の前園が華やかな舞台で活躍する中、長く地味なSBとしてプレーしながら、怪我や体格の不利を跳ね返し、ベテランと呼ばれる歳になってからCBとしても花開いた遅咲きの努力家。 浅利は社員選手でありながら、そして次々と新しい戦力が入りながら、いつも困ったときには頼りになる守備のスペシャリスト。 そういう物語が二人を際立たせている。 決して能力だけではない。
アマラオが今でも伝説なのも、故郷の話や日本にやってきた最初の冬の話、移籍を思いとどまった話など、いろんな物語があるからこそだろう。 決してプレーだけではない。
今回の土肥や福西の戦力外はどうだろう? 土肥は言わずもがな、クラブの大々功労者。 そのプレーとキャプテンシーと鉄人ぶりでサポーターに深く愛されている選手。 福西はクラブにやってきた初の代表レギュラークラスのビッグネーム。 クラブに新しい何かをもたらしてくれるのではないか、とサポーターの期待とときめきを一身に浴びた選手。 もちろん、二人とも能力には文句のつけようがない。
かつてのケリーにしても、去年のジャーンにしても、そういう選手達を大切にしないクラブを、地元というだけで簡単に愛することが出来るだろうか。 たとえ新しく獲得した選手が元の選手より能力的に高かったとしても、その選手が愛されるようになるには、また同じかそれ以上の時間がかかる。 (実際は、試合にも出られないのだから、論外なのだが。)
それに、せっかく獲った選手を簡単に手放していたら、今後ウチに来てくれる選手もいなくなる。 今いる選手さえ出て行きたくなるかもしれない。 実際、そういうクラブがほかにあった。
コーチもそうだ。 確かに徹さんは選手に信頼されているとは言え、いつもミニゲームと鳥かごばかりの練習は、正直言って物足りなかった。 けど、もしかしたら、「ひも付き」で外部やユースで修行させるとか、いろんな方法はあると思うのだが。 特に新米の文丈は。
さらに、今回の戦力外が、仮に選手側の希望だったり、両者の協議の結果、避けられないものであったとしても、発表のタイミングには細心の配慮があって良いのでは? 福西の握手会や八田のMDP登場の直後に発表するなんて最悪だ。
もしかしたら、専務なり、強化部長なりには、見通しや勝算があるのかもしれない。 けど、 サポーターにとって、そんなことには何の価値もない。 現実の選手達の方がずっと大切。 今回の戦力外が、仮に結果的に成功したとしても、これだけサポをヤキモキさせ、議論や反発を噴出させている時点で、失敗と言って良いと思う。 フロントは自分で自分のクビを締めた。 (まぁ、そもそもホップ・ステップ・チャンプや今年の3位以上などという現実離れした目標を立てている時点で、フロントの現状掌握力への信頼は地に堕ちているのだが。)
時には刷新も必要だろう。 けど、それは細心の配慮と計画性と共になされるべきだ。 毎年繰り返すものではない。 サポーターは、フロントに最も理解ある部類の者でさえ、ここ数年の迷走を無理矢理咀嚼し、納得しようとしていた。 なのに、それを簡単に反故にし、裏切るようなことを繰り返せば、人心が離れるのは早いよ。 あまりサポーターを愚弄しない方がいい。
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