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2008年9月22日 (月)

緊張感溢れる戦いの果てに 第14回多摩川クラシコ 9月20日(土)

東京にとっては前年の大敗に一矢報いる劇的な勝利であり、川崎にとっては東京に負けたくない理由が新たに加わったであろう多摩川クラシコ。 こうして歴史が積み重なっていく。

川崎は強かった。 今シーズン途中から本格的に採用し始めた4バックが馴染み、守備が安定した。 (いわゆる"川 崎山脈"が、長身CBを3枚並べたフォーメーションのことを指すのであれば、"川崎山脈"はもはや過去のものか。)

その安定した守備が支えるJリーグ随一の攻撃陣。 前線でボールをキープし、運び、起点にもフィニッシャーにもなれる選手がたくさんいる。 サイド攻撃も中央突破も、ドリブルもパス回しも、速攻も遅攻もセットプレーも得意。 機を見て攻撃参加するボランチやサイドバックを捕まえるのも至難の業。 唯一の不安は、最近ジュニーニョがゴールに見放されていることだろうか。 いずれにせよ、今期東京が対戦する相手で、爆発力は今の川崎が一番だろう。

昨日も前半から多彩な攻撃を展開した。 序盤は黒津とジュニーニョが左右のポジションを入れ替え、ゴールに切り込み、テセもロングシュートや反転からのシュートを狙う。 憲剛が巧みにボールを捌き、ヴィトールジュニオールもアクセントとなり、村上も攻めあがってくる。 そしてシュート力のある谷口の存在。 恐ろしいメンバーが足を止めず、フリーになる意識を持ちながらゴールに迫ってくる。 

けど、東京が先制。 CKをファーで受け、綺麗なボレーを決めた赤嶺。 二桁の大台に乗せた。 あぁ、怪我が軽いことを願っている。

そして今野の一発レッド。 確かに肘が入っているから笛は妥当だろうけど、一連の流れを見れば、身体を寄せていく過程で起きたものであることは明白。 あれがレッドだったら、福西なんてどれだけレッドを貰うことやら。 今野のプレーは相手を倒すことを目的としたプレーとは質的に違う。 (札幌凱旋は叶わない?)

けど、これで東京の選手たちもゴール裏も結束した。 このあと約50分間、川崎の攻撃陣は東京の守備に圧力をかけ続けたけど、東京も我慢して反発し続けた。 平山、鈴木達也、藤山も点を許さないために、勝つために必要なことやった。 城福が言うとおり、守備ブロックは決定的に破られることはほとんどなかったと思う。 川崎の攻撃は徐々にペナルティエリアの周りを横にスライドするだけになっていった。

選手がそれぞれやるべきことをやり続けた結果、ついに逃げ切ることが出来た。 それはサポーターにも言えるのかもしれない。 全員の力で勝ち取った勝利だと思う。

14日(日)に開催されたビグフレ交歓会の締めの挨拶で、城福監督は次の趣旨のことを言った。

  • 我々はまだ何も諦めていない。
  • 選手達も上を意識して緊張感を持ってやってる。
  • 9月の戦いでそのことを他のクラブにも見せてやる。
  • サポもその心積もりでいて欲しい。

個人的に、この宣言はまさに聞きたかったことで、グッと来た。 (手前味噌ですが、ビグフレ交歓会に出かける直前に書いた大宮戦の弊記事をご覧ください。)

今年の新体制発表時に村林社長(当時専務)や城福監督が掲げた目標は、優勝争いに加わることだった。 苦しい夏を経て、今チームはそのギリギリのところにいる。

目標を実現するために必要なことは、目標をぶれさせないこと、必要な準備を怠らないこと、そして選手やスタッフたちが緊張感を持ってそれぞれの役割と責任を果たすこと。 城福の発言は、まさにそのことを指摘していたのではなかろうか。

そして、昨日の川崎戦で、選手たちはそのとおり見事に戦った。

しかしてサポはどうか? 試合展開の中で、あるいはシーズン全体の中で、もっと言えばクラブの発展段階の中で、クラブの目指すところや実際の立ち位置、周りの状況や、目標と現実の乖離を引き起こす理由などを(自分なりに)踏まえ、それに応じたサポートができているか?

前半は、ごくごく一部ではあるが、感情的な野次も耳にした。 すべての野次を否定する訳ではないが、些細なミスをあげつらってブーブー言うだけなら、目の前の事象に条件反射 しているだけで、何も考えていないのと同じことだと思う。 (そういう人に限って、野次の語彙ばかりが豊富で、歌ってない・飛び跳ねてないのは皮肉。)

けど、後半は最高の形の応援が出来ていた気がする。 ゴール裏が一体化し、逆境に立たされた選手たちを熱くサポートできたと思う。 単に盛り上げるだけでなく、意思が統一された応援ができたのは、たぶん2006年のフクアリ(倉トーキョー初陣)以来ではなかろうか? J広しと言えども、東京は胸を張ることができる素敵な応援が出来ていたのではないかと思う。

まだ優勝できる力はないかもしれない。 ACL出場もまだ早いかもしれない。 けど、上位進出を目指し、少しでも長い時間緊張感を持って戦えれば、それがクラブの血となり肉となる。 川崎戦のような経験を経ることで、サポーターの緊張感も増していくのかもしれない。

今後もこの緊張感を保っていきたい、だから、今週の2試合は是が非でも勝ちたい。 この流れで下位チームを確実に叩いてこそ、強豪への道に繋がる。 (よい選手を揃えることだけが強豪への道ではない。)

まだ諦めていないと言った監督にも重い責任が伴う。 怪我の選手や出場停止がいる中であっても、発言に見合った準備をし、戦いの指針を見せなければならない。 そしてピッチで戦う選手たち自身も。

サポーターも緊張感を保って頑張ろう!

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コメント

お疲れ様でした
最高のクライマックスでしたね
相手の攻撃に関しては「思ったほどじゃない」が当方の見解でした
もっとバイタルエリア付近で厳しいボールをつないでミドルを狙うか、そうやっているうちに出来るサイドのスペースから
クロスを入れてくるかと思っていたのですが、案外単調だったように思いました
それでも、守り抜いた選手たちにほ、讃えるよりほかありません

サポートについては当方はあまり関与しないことですが、ちょっとしたことで野次るのって、なんだか情けないですね
滅多なことでは野次らないので、野次ってばかりの人の了見がわかりません
(さすがにミドル1本も撃たずに、攻撃の形も作れず負けたりしたら怒りますが)
なんにせよ残り試合、緊張感のある声援を送りたいものですね

投稿: スネーク | 2008年9月22日 (月) 21:33

2006年のフクアリはとてつもない蒸し暑さと、試合内容の熱さで忘れられません。あの試合も赤嶺が決めてましたね…。

今年の東京ダービー(1回目)も異常に盛り上がりましたが、この2試合とは別種の一体感だったような気がします。

投稿: いおぞう | 2008年9月23日 (火) 00:40

スネーク様
盛り上がりました。楽しかったぁ~

川崎の攻撃はだんだんワンパターンになっていった気がします。谷口が退いたのも、イメージ的には気が楽になりました。(東京はかつて大橋にもやられていますが。)

>それでも、守り抜いた選手たちにほ、讃えるよりほかありません
まったくそのとおりですね。

残りも頑張りましょう!

いおぞう様
ヴェルディ戦も盛り上がりましたね。
ただ、東京サポはM体質の人が多いのか、順風のときより、逆境を跳ね返して、という場面により燃える気がします。

まぁ、東京だけに限らないかもしれませんが。

投稿: fct fan | 2008年9月23日 (火) 00:56

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