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2008年9月24日 (水)

強豪に至る遠く険しい道 FC東京vs磐田 9月23日(祝)

落日燃ゆ。

Tokyo_vs_iwata01_3

歩みはじめた降格という名の絞首台への道。 磐田はもう引き返せないのだろうか?

その磐田と入れ替わるかのように、上位進出への道を歩みつつある東京。

もちろん、浮かれるのも楽観するのもまだ早い。 これからどんな逆境や苦難が待ち構えているか分からない。 壁を越えたと思ったら、その先にまた次の壁がそびえているかもしれない。

ただ、今までにない手応えを感じていることも、また偽りのない事実。

これまで上位相手に劇的な快勝を飾っても、次の試合ではグダグダの内容になったり、"いい人東京"を演じることが多かった東京。 けど、最近は首脳たちの意思や選手たちの集中力、そして勝つための工夫や仕掛けを感じることができる。

例えば試合終盤の戦い方。

  • 徳永-モニ-佐原-長友
  • 浄-梶山-浅利
  • 達也-平山-大竹

と並べた4-3-3によるプレスは、攻め急ぐ相手を確実に追い込んで無力化していった。 メンバーやフォーメーションこそやや異なるものの、クラシコ前に試した「中盤の城壁」の成果ではないか。

例えば石川。 その熱さゆえ、空回りすることもあるが、ここ数試合は熱さと確実さとか高いレベルで両立している。 とある識者がナオについて 「外から戦況を見極め、役割を明確にした上で投入するといい仕事をする」 と書いていたが、そのとおりだとすれば、ナオの活躍はよく練られたプランがあり、そのプランが機能していることの証左であろう。

このように、勝利に向けた周到かつ柔軟な準備の痕跡が垣間見える。 また、キャンプの頃から一貫して取り組んできたムービングサッカーを含め、チームの土台も徐々に厚く、堅く築かれつつあるように思える。 去年までの努力や試行錯誤も無駄ではないだろう。

先制点はカボレがドリブルできるためのスペースを生む形で少し低めに配置した成果である。 磐田のスリーバックがサイドからの突破にあまりにも無策だったとは言え、また、カボレのシュートが出来すぎだったとは言え、狙いどおり裏に抜け、先制点を奪うことが出来た。

2点目はセットプレーの流れからもう一度繋ぎなおし、ナオが右から上げたセンタリングにファーでキャプテン佐原が合わせたもの。 GKキーパーが飛び出せない位置と速さに出したナオのグラウンダーのセンタリングが絶妙だった。 平山もニアに相手DFを引き付けながら潰れてくれた。

3点目は茂庭の成長を感じた瞬間。 1点差に追いつかれ、相手にボールを繋がれていた苦しい時間帯。 この時もプレスを受け、奪われれば一気にピンチになりそうなところ、セーフティーを意識しつつ、冷静な処理でカボレに繋げだ。 そして赤嶺ばりにニアに走りこんだナオが絡み、オウンゴールを生んだ。

4点目は再度カボレの突破力が磐田DFを切り刻み、今度は正真正銘にナオが合わせたもの。 ナオは失点の時、髪をかきむしって悔しがっていた。 けど、俺達のナオヒロは、その悔しさを、具体的にグラウンドで晴らした!

そして5点目は浅利?のフィードから鈴木達也がヨシカツとDFの位置と動きを冷静に見極めて決めたものである。 余談だが、お立ち台インタビューでの受け答えに鈴木達也の聡明さを感じた。 これからもずっと頼む!

勝ちは偶然ではない。 試合前の柔軟な準備と、これまでの一貫した蓄積が組み合わさったもので、裏付けがあるものである。 ただし、ちゃんと準備していたとしても、蓄積があったとしても、すべて上手くいくとは限らない。 運や不運、時の流れが左右する。

昨日も2-0からこちらのミスが絡んで1点差に追いつかれた。 その後も磐田にボールをキープされる時間が続いた。 もし同点に追いつかれていたら、試合は異なった結果になっていたかもしれない。

けど、ここで選手達は多摩川クラシコに引き続き勝利への渇望を見せ、粘って1点差を守りきった。 そして、自分達の力を発揮して磐田を突き放した。 3連勝のあと、下位に取りこぼすことなく突き放す。 東京は一歩、強豪に近づいた。

強豪への道には、これからもたくさんの分かれ道があるだろう。 正しい道を選択しても、そこで満足したり気を抜いたら、すぐに道に迷ったり、元にいた場所に戻ってしまうだろう。 運も左右するだろう。 間違った道を選択しても、遠回りの果てにゴールに近づけるかもしれない。 けど、諦めたら道はそこで終わりである。

東京が近道を選んでいるのか回り道をしているのかは分からない。 けど、目指すところに近づいていることだけは確かだと思う。 決して遠ざかってはいない。 サポーターも決して浮かれることなく、けど希望を胸に持って見守っていきたい。

次の分かれ道。 舞台は札幌・厚別。

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コメント

こんばんは。試合中から「浮かれちゃいかん(今ちゃんに叱られる)」と、自分を抑えつつ(笑)応援してました。
上位に並びつつある今、本当に1試合1試合の重要さが、優勝も降格もない位置とは明らかに違うことがわかります。気を抜ける試合なんてひとつもない緊張感が、きっとチームを強くする好循環に入るのではないかと思います。
それにしても今年の浅利、すごいですね。今までの東京の戦術には、実は彼は合ってなかったんじゃないかと思うほどのすばらしさです。
そしてお立ち台の達也には、その人柄を感じさせられ、東京にふさわしい選手だなあと思ったと同時に、柏というチームに非常に好印象を持ちました。

投稿: OBAKA母 | 2008年9月24日 (水) 22:00

OBAKA母様
この時期に上位をかけた本気の戦いが出来るということは、本当に良い経験をしていると思います。

他方、ライバルはACLを戦っている訳で、更なる経験を積んでいます。サポも平日に5万集まるのはすごいです。東京もそういうところを含めて、まだまだ準備が足りないな、と感じます。

浅利にはビックリですね。彼自身、成長しているのではないでしょうか?
達也はプレーにも言葉にも頭の良さを感じました。今後にも期待です。

投稿: fct fan | 2008年9月25日 (木) 07:31

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