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2008年12月30日 (火)

渇望と喪失と希望 天皇杯準決勝 FC東京vs柏 12月29日(月)

リーグ戦6位、ナビスコ杯ベスト8、そして天皇杯ベスト4。 胸を張るべき結果であろう。

さらに、U-18やU-15はタイトル獲得を含む素晴らしい成績を収めている。 (むしろ、ここ数年、安定した成績を収め続けているU-18やU-15に、ようやくトップも追いついて来た、ととらえるべきか。)

2008年のFC東京は、ユースも含む総合クラブとして見た場合、ガンバ大阪に次ぐ結果を残したとさえ言えるかもしれない。

しかし、そんなことは少しの慰めにもならない。 ひとつひとつの敗戦はどれも悔しいが、シーズン終了とチームとの別れを告げる敗戦は何にも増して心身に堪えるのである。

応援で燃焼し、結末を現地で見届けることが出来た自分でさえこんなに辛いのだ。 現地に行くこと叶わず、録画を見るしかなかった人たち、ましてや、仕事中にモニターや携帯で情報を追いかけるしかなかった人たちの喪失感はいかばかりだろうか。 (国立とエコパのカードをなんとか差し替えることは出来なかったのだろうか?)

もうひとつ、この敗戦が辛い理由。 それは、ベスト4に勝ち上がった4チームの中で、自分達こそが最もタイトルを渇望していて、気持ちで負けていないと思っていたから。 実際、小平は充実感に溢れていた。 気持ちで負けなければ試合でも負けないはず!

また、「誰々と元日まで」という柏のかけ声が、99年のフリューゲルスはともかく、魔法の言葉ではないことは誰もよりも東京が良く知っている。 東京は柏の選手達の気持ちに負けたのではない。 魔法は魔法でも、魔法使いフランサに十分対応できなかったから負けたのだ。

序盤、ペースを握ったのは東京。 試合への入りがうまくない東京にしては珍しく繋げていたと思う。 

鈴木達也が内に外に躍動する。 羽生も攻守に"頭の良い"プレーを魅せる。 今野もパスアンドゴーから縦への鋭い飛び出しを見せ、清水戦とは別人のよう。 そして梶山が抜群のキープ力から長短パスを繰り出して攻撃を組み立てる。

他方、柏は得意のカウンターとサイド攻撃から盛り返す。 そして、試合が均衡しだした時間帯に達也のミドルが決まる。 今野の相手DFを引き付けるフリーランによってシュートコースが開き、フリーでズドンと決めた。

中盤で理想に近いパス回しが出来ていたという意味では良い前半だった。 ただ、FWが十分な仕事を出来ていない、フォローも受けられていない、徳永が菅沼に付ききれていない、太田の速さを警戒した長友もなかなか攻撃に絡めないという意味では、難しさを感じた前半でもあった。

触れずにはいられない栗澤。 貴重な繋ぎ役として馴染んでいた。 背の低い選手が揃う柏の中盤ではしばらくどこにいるのか分からなかったが、それこそ潤滑油たる栗澤の面目躍如だろう。

後半からフランサを投入した柏。 ボールを持っていても、フリーの状態でも、独特の間合いを保ち、何をするのか分からない。 ディフェンダーもスタンドもつい見入ってしまうまさに魔法使い。

と同時に、柏はカウンターのチームから、王様フランサと僕(しもべ)達というチームに変貌した。

フランサは運動量も少なく、何本か放ったボレーシュートも枠を大きくはずしていた。 ただ、ああいうシュートを打ち続けているうちに、何本か一本かは合ってしまうのではないか、という恐怖が募ってくる。

他方、東京も梶山を中心に良い攻撃を見せていた。 ただ、フランサと違って、カボレのボレーシュートは何本放っても決まる予感がしない。。。 orz

そして、フランサについて感じていた恐怖は現実のものとなる。

右サイド深い位置でのボール争奪戦。 徳永、羽生(と梶山?)が絡むが、相手ボールを奪いきれない。 ついに佐原まで引っ張り出されてしまったところで、クロスを上げられると、誰からも悟られることなく合わせたフランサが股抜きシュート。 恐ろしいくらい落ち着き払った動き、そしてシュートだった。

東京もエメ、ナオを投入し、ギアチェンジ。 梶山を中心に攻撃を組み立てるが、惜しいチャンスを決めきれずにいるうち、徐々に攻め急ぎが目立ちだす。 このあたりは、前半繋げていただけに、そこに固執する部分があったのかもしれない。

あと、誤算だったのは、思いのほかの暑さではなかっただろうか。 両チームともに脚が止まってしまった。 スペースが空き、攻め合いになったところでは、一人で決定的な仕事が出来る選手のいる柏の方が有利だった。

東京がナオや梶山のシュートが力なく菅野の手に収まり、カボレやエメルソンのシュートが枠を外し、赤嶺にはシュートチャンスすらほとんど巡ってこなかったのに対し、チュンソンのシュートはクリーンヒットだった。

東京であんなミドルを打てる選手は鈴木達也、大竹、長友くらいだろうか。 二人はピッチにおらず、一人は後方で相手カウンターを警戒していた。 高い位置でボールを持てる東京の10番がシュート力を上げれば鬼に金棒なのだが。

その後、祐介を投入し、佐原も上げてパワープレーを仕掛けたが、決めきれずにタイムアップ。 かくしてFC東京の2008年シーズンは終わった。

エメルソン、ありがとう。 (移籍/戦力外の選手達については改めて・・・。)

改めて、リーグ戦6位、ナビスコ杯ベスト8、天皇杯ベスト4というのは胸を張るべき結果だと思う。 実際、格段の進歩を遂げた実感はある。

ただ、冒頭にも書いたとおり、今はただ悔しさばかりが募る。 もっと真剣に応援すればよかった、もっと丁寧に組み立てれば良かった、逆に早めに蹴っていけば打開できたんじゃないか、ショート カウンターサッカー(去年までの自分達を棚に上げて)とフランサ頼みの○○サッカーの柏に負けるなんて悔しい、とか・・・。

一年間を通じた視点と目の前の歓喜。 両者を切り離して論じることはできても、気持ちの上で分離することは無理。 たとえシーズン通してみれば満足すべき内容だったとしても、悔しいものは悔しいのだ。

ただ、そんなことをグダグダ言いつつも、夢を置けるチームがあり、一緒に応援する人たちがいることは、本当に幸福なことだと思います。

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コメント

フランサの「死んだふり」に、完全に引っかかってしまいましたね。

この試合の随所に、いろいろな課題が垣間見えた気がします。
まだまだ優勝するには、積み上げが足りない…それが結果に反映したのだと思います。

投稿: LQO | 2008年12月30日 (火) 21:21

遠征お疲れさまでした。
仕事の打ち合わせで携帯すら見られず、終わってエイッと開いた携帯の結果に愕然、呆然。
その後、仕事が手につきませんでした。
帰宅して録画を見、気持ちで負けたんじゃない、と確認できてやっと少し持ち直しました。
今野梶山すごかったです。
来年は、新たなチームで、「優勝を狙える位置」ではなく「優勝」を手に入れるために戦ってほしいと思います。私はリーグ優勝が一番見たいです。

投稿: OBAKA母 | 2008年12月30日 (火) 23:34

お疲れ様でした。本当に悔しい敗戦でした。ただ、敗戦をここまで悔しく思えること自体が、今シーズンを通して得られた最大の収穫なのかもしれないな、なんてことも考えています。勝利への欲望・渇望をこれほどまでにリアルに感じられるようになったことが。そしてそれが、優勝・タイトルを手に入れるためのものとして実感できるようになったことが。

昨シーズンまでの東京は、これで勝ったら失礼だ、なんてことさえ思うことがありましたもんね(笑)。

投稿: コール | 2008年12月31日 (水) 02:12

皆様、コメントありがとうございます。

LQO様
確かに積み上げの足りなさは、年間を通じて感じましたね。
まぁ、それは柏も同じですし、一発勝負なので勢いで行っちゃいたいな、と思ったのですが。。。
いろんなブログを見ても、おおむね課題がはっきりしてきた、という評価が多いようですね。
来年はそこら辺ではっきりとした改善を期待したいです。

OBAKA母様
選手たちもゴール裏もよく戦っていたと思います。それでも届かなかったもの・・・。悔しいです。
スタッフも選手たちも課題を認識していると思います。
少しでも上、究極的には優勝を目指して取り組んで欲しいです。

コール様
そうですね。
私も千葉戦の後に、「この悔しさは、今年、上の世界を垣間見たからこそ湧き上がって来る感情」と書かせていただきました。
タイトルが欲しいというリアルな感情が一番必要なものなんでしょうね。
それを勝負強さや精神力にうまく変換できれば、と思います。

投稿: fct fan | 2008年12月31日 (水) 14:58

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