ナビスコ杯 FC東京vs神戸 3月29日(日)
シュートの本数21本と4本。獲ったのは同じ1点。前者は1-3で敗れ、後者は1-0で勝った。
試合終了後、国立に移動して観たヴェルディvs栃木。圧倒的に押していた栃木が決めきれず、ロスタイムのPKに沈んだ。
暖かい拍手でサポに迎えられた敗れた栃木イレブン。ブーイングを浴びせられた勝ったヴェルディイレブン。
シュートをたくさん撃っても、試合を支配しても、良いサッカーをやっても、勝つとは限らない。古今東西、サッカーには不思議がいっぱい。
さて、昨日の東京。茂庭に代わり今野。長友の代わりは椋原。
椋原は先週日曜の横河武蔵野との練習試合でなかなか良い動きを見せていた。
柏戦で使われても不思議ではないと思ったが、先に藤山、次に椋原という順序での起用。もしかしたら予め想定した段取りだったのかな、と感じたが考え過ぎか。
中盤の底に浅利、その前に羽生、右に梶山、左に大竹が位置取る。
ツートップは、やや前方に赤嶺、後方にカボレ。
神戸は、右サイド石櫃が高い位置をキープしているかと思ったら、3バック(河本、宮本、北本)のツネ様システム。FWは我那覇と吉田。ブラジル人は皆怪我らしい。
前半は、中盤の数的優位と東京が引き気味に試合に入ったことを生かし、神戸がボールをキープ。
今年の浦和やこの日の神戸のようにボールキープを重視する相手だと、新潟や山形や柏のような速攻中心の相手よりも、東京のプレスの連動性が欠如している様子が目立ちやすい。
赤嶺が追いかけても、2列目が誰も詰めていない。これでは赤嶺のチェイシングはかなりの部分、徒労。
他方、浅利のスペースを埋め、味方をカバーする動き、羽生の相手に突っかけていく動きは良かった。山形戦ほどではないが、DFとMFで相手FWを挟み込む動きも見られた。そして佐原と今野が高い対人能力を発揮して相手FWを抑え、ボールを弾き返した。
攻撃では羽生が0.5列下がり、スペースに飛び出す動きを欠く。特に大竹はフリーで上がっていく動きに乏しい。ひとたびボールを持てば果敢に攻め上がるものの、ボールを受けるまで待つことが多いので、どうしても攻撃の起点が低くなる。大竹は混戦で負けない強いフィジカルと技術、そして冷静さを兼ね備えているのだから、もっと高い位置でボールを受けて欲しいと思う。そうじゃないとボランチであれ、2列目であれ、梶山の負担が一向に減らない。
結局、中盤の狭いスペースに敵味方が入り乱れ、守備はある程度機能したものの、パスの出しどころがなく、佐原が当てもなくロングボールを蹴りだすシーンばかりが目立った前半。
対する神戸も大概な内容だった。ボールをキープしても、どう攻めたいのか、意図が見えてこない。
チャンスに繋がるのは、斜め走りで切り開いたスペースに飛び出した選手にボールが渡った時などだが、パス精度が低く、ヒヤリと感じる場面は少ない。
お互い、とてもJ1の試合とは思えない、お粗末な前半。春なのに、どこか気だるさが漂う午後。
しかし、後半、神戸が規郎を投入したことで、俄かに舞台が動き始める。
知らない人が聞いたら過剰としか思わないであろうブーイングで迎える東京サポ。規郎、ようこそ、アウェイの味の素スタジアムへ。
ゴール裏に発生した熱が、ジワリとスタジアムを包み込んでいく。
そして、目立ち始める仕掛けや飛び出し。上がり始めるテンポ。繋がり始めるパス。
相手を押し下げ、サイドバックも参加し、厚みのある攻撃を見せ始める。
そして右サイドから赤嶺、カボレを経由して左に繋がったボールを大竹が決める!東京が先制。今年一番のゴール。
その後、スペースが生まれ始めるとますます東京がペースを握る。神戸が茂木を投入し、規郎の位置を下げたことで、余計神戸の守備は混乱したと思う。易々と梶山と椋原に裏を取られる規郎。(それにしても神戸は茂木、規郎に古賀弟と、攻撃的な左サイドがやたら多いな。また、今回は規郎を抑えたけど、彼との勝負はこれからも続いていくよね。)
中でも外でもボールが繋がる東京。けど、精度を欠き、なかなか決定機には到らない。とはいえ、開幕以来、形を欠いていた攻撃に関して精度云々を語れるようになっただけでも大進歩である。やっとやりたい形の影だけでも見えてきた。
個々の選手では、無理な姿勢からでもラインを割らない椋原のクロスは良かった。
梶山は彼にしてはいまいちだったが、規郎との勝負は面白かった。
今シーズンの徳永は集中力が上がった気がする。まだ自信がなさそうに見える時があるものの、大分信頼感が上がってきていると思う。
そして、こちらの方も書かれていたが、今野は最近の調子ならCBで使った方がいいだろう。
本来ならば中盤に置いて、対人守備だけでなく、突進力やワンツーからの躊躇ない飛び出し、シュート技術の高さなどを発揮して欲しいのだが、去年の後半からはプレーが余りにも消極的。それならCBでひたすら対人能力の高さを活かして貰ったほうが良いということになる。非凡な今ちゃんはその要求を難なくこなしてみせるのだが、なんとなくもったいない気がするのは俺だけだろうか?
何はともあれ、欲しかった結果と、おぼろげながらも形が見え始めた試合だった。ただ、それはチーム再構築中で、ブラジル人を欠く神戸相手だっただけに、いくらかは割り引かなければならないだろう。
それでも、針の穴程であったとしても、見えたかすかな光明に賭けたい。チームは間違いなくその方向に走っており、その方向に未来はあるはずだから。
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コメント
神戸戦後、ネット上で「最悪だった試合」という言葉をいくつか目にしたのですが、
今回のエントリーを読んで私の試合の感想と近かったので安心しました。
ゴール裏から見るのとメイン・バックから見るのでは試合の印象・感想が多少違ってくるんですね。
投稿: 幸運 | 2009年3月31日 (火) 10:38
当方の感想は、全く一緒です
というより、よく整理してくださったという感謝の念があります
失礼な補足、指摘などするところまったくありません
胸の内がすっとしました
それから、練習メニューの件ではありがとうございました
疑問が解けた気がします
磐田には参じるつもりです
フリーゾーンですが、お会いできたらビールの1杯でもおごらせていただきますw
投稿: スネーク | 2009年3月31日 (火) 21:48
>幸運様
コメントありがとうございます。感想が近かったとのことで、嬉しいです。
何をもって良い・悪いとするかは、人によっていろいろなのかな、と思います。
選手が走らない・戦ってないのが最悪と感じる人もいるでしょうし、チームとしての形が見えない、選手どうしの意図がバラバラな試合を最悪と思う人もいると思います。ミスが多い試合をレベルが低くて良くないと見るか、チャレンジの結果だから必ずしも悪いとは言い切れないと思うかも、見方が分かれると思います。
また、やろうとしているサッカーによっても異なると思います。
攻守の切り替えの早さが生命線というサッカーなら、とにかく速く走って相手ディフェンスが戻るより先に攻めることが大切になりますし、ポゼッションサッカーなら、縦に走るよりまずスペースやパスコースに顔を出すことが優先されるでしょう。
神戸戦の後半は繋ぐという狙いが時間限定ですし、たどたどしいですが、実現出来ていたかな、と思います。
ちなみに、神戸戦はゴール裏で見ていました。
スネーク様
誉めていただいて照れます。意見が違う時も教えて下さいね。視野が広がるので。
磐田にはリブリバスツアーで行きますよ。
投稿: fct fan | 2009年4月 1日 (水) 08:09