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2009年3月 9日 (月)

どこまで理想を FC東京vs新潟 3月7日(土)

新潟は後半から戦い方を変えてきた。

もともとのプランだったか、それとも、前半最後のプレーが新潟にCKだけでなく、東京攻略のヒントも与えてしまったか。

前半の新潟は大島にロングボールを合わせ、ポストプレーから組み立てていく形。 さすがに大島はよくボールを収めていたけど、茂庭と平松がよく対応していた。

開始早々飛び出してきた内田に繋がりそうになった場面と、矢野のキープを起点に左から右に繋がれて至近距離からシュートされそうになった場面以外、ピンチも少なかった。

左のペドロ・ジュニオールは消えがちで、右の矢野はミスが目立つ。 ただ、両ウィングがいることで東京の両SBが上がれなかった。 キャンプからテーマにしていたサイドを高い位置で張らせる戦いができなくなり、攻撃が中に偏ってしまう。 梶山頼みが顕著になって、厚みのある攻撃を見せられなくなる。

それでも優位に立ったのは東京。 FWに当てて中盤に戻し、そこから梶山が細かく繋ぐ攻撃を発揮。 新潟をゴール前に張り付かせる時間帯もあった。 ただ、ゴールに近づくにつれて攻撃のスピードが落ち、結局戻してから攻め直したり、確度の低いクロスを入れたり、散々時間をかけた挙句無理な体勢からシュートを放つだけで、なかなか決定期を作るまでには到らない。 ただ、赤嶺と近藤のツートップはPSM札幌戦よりはずっと動けていたし、繋げていた。

で、前半ロスタイム。 新潟がボールを奪うと左サイドを強引に突破し、CKを得る。 ピッチサイドでは、鈴木淳が激しいジェスチャーで攻めろという意思を伝えていた。 で、スタンドの誰もがヤバイと思ったこの場面で失点。 前半良いところのなかったジウトンがノーマーク。 新潟の高さは武器。

後半に入ると、新潟は大島へのロングボールを止め、ドリブルでサイドを突破する戦い方に。 矢野にリシャルデスが、ペドロジュニオールにジウトンが絡む。 すると、東京の両SBは完全に数的不利に陥り、ますます上がれなくなってしまい、東京の攻撃はますます梶山頼みになってしまう。 そして、梶山も徐々に冷静さを失い、無茶な仕掛けが増えてくる。

失点は崩されたというよりも、アンラッキーまたは自滅だった。 祐介の豪快なシュートで同点に追いついたのもつかの間、CKのこぼれ球がペドロ・ジュニオールの前に飛んで突き放されると、平松がモニに出した弱いパスを大島に奪われ、3失点目。 モニの位置を確認しなかった平松が軽率だったが、モニも、大島との位置関係からすれば、やや急に開き過ぎたか? そしてカウンターから4失点目。

長友に彼らしくない適当なプレーが目に付いたのが気になった。 権田に関しては、出場していること自体が貴重な経験。 我々は未来の代表守護神になるはずの逸材のデビューを見たのだ。

守備に関しては、アンラッキーは仕方ないし、ミスは減らすしかなく、(実際にできるかどうかは別として)修正のしようがあると思う。 と言うか、今のメンバーで繋ぐサッカーをやっている限り、ショートカウンターに対して脆いのは仕方ない。 実際、かつてのショートカウンター主体の頃の東京も、まともに繋ごうとするチームを血祭りに上げることが多かった。 攻撃の精度を上げて、カウンターを食らわないようにするしかない。

だから、難しいのはむしろ攻撃と全体的な戦い方。

攻撃に関して言えば、どうすればアタッキングサードでスピードを落とさずに攻撃を貫徹できるのか、整理する必要があると思う。 相手のディフェンスが薄いのに味方にボールを預けるだけで、攻撃に責任を持てない選手は、どんなに能力が高くても今の城福サッカーではピッチに立つべきではないと思う。

また、中盤でボールホルダーがマークを受けて前を向けないときは、その選手の180度よりも後ろに必ずパスコースを作らないと、そこで潰されてカウンターを食らってしまう。 どんどん追い越すだけでフォローしないなら失点は減らないと思う。

全体的な戦い方という面では、自分達の理想をどこまで貫き、それがうまくいかないなら、どこから現実的に勝ち点3を獲りに行くのか。 新潟に高さがあることも、ウィングを張らせて来ることも最初から分かっていたはず。 けど、東京は自分達の理想を優先し、相手に関しては無策だった(ように見えた)。 今の完成度なら、理想からは離れるかもしれないけど、もう少しやることを限定してはっきりさせないと、自滅を繰り返す恐れがあると思う。

逆に新潟は、今のメンバーで勝ち点3に向けてやれることをやる(やれないことはやらない)サッカーで、面白みもなければ、伸び代もないけど、大勝した。

東京はどう理想と現実の折り合いを付けていくのか? 城福監督も、そんなことは百も承知だと思うが。

次の相手は、やはり重い課題に直面しているものの、戻れる場所がない分、やることに集中するしかない浦和。

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コメント

>攻撃に責任を持てない選手は、どんなに能力が高くても今の城福サッカーではピッチに立つべきではないと思う。

昨日のサッカーで、本当の意味で責任を負ってプレーしていた人物は、
金沢だったという印象がありました
あとの選手は(ゴールを決めた近藤を含めても)どこか投げやりな
印象を受けました

長くかかりますかね
けれども、昨年鹿島にいいようにやられた後も、清水に蹂躙された後も
立ち直るのは案外早かったと思ってもみたり・・・

心配なのはやはり守備ですね
水戸戦から心配していた守備ブロックの構築はある程度で来ていたよう
ですが、個人の奮闘により潰すという基本は変わっていないように
思われました

ともあれ少ない時間ですべてを修正することは不可能でしょう
監督のチョイスに期待といったところでしょうか

実況上での散漫な感想になりますが、当方の感じたところは以上です

投稿: スネーク | 2009年3月 9日 (月) 01:38

続けてコメントさせていただきます。
この試合の感想、全くその通りだと思います。一つ一つのご意見に思いっきりうなずけます!
おもしろく楽しいサッカーは随所にあったけれど、それと勝つということは違うのだなぁ、新潟の方が現実的な戦いなのだなぁと、試合途中でしみじみ思っていました。

投稿: ギン | 2009年3月 9日 (月) 08:44

守備は技術的なことより、もっと成熟というか老獪になってもいいと思うんですけどね。茂庭、徳永、今野はここ何年もレギュラーを張っているわけだし。

攻撃は梶山を1列上げたことで展開力が下がったのは気掛かりです。ブルーノの守備力には不安があるし…。ナビスコで米本の試運転を行っておく必要があるのかも。カボレが先発できれば状況は変わると思いますが。

投稿: いおぞう | 2009年3月 9日 (月) 12:30

はじめまして。

本当に、おっしゃるとおりです。

2年前でしたか、広島に開幕戦でボロボロに負けた事を思い出しました。

今年も妻と一緒に行ったのですが、広島戦も妻と一緒でした。妻と一緒だと、なぜか負けてしまうのです。困ったものです(^_^;)

浦和戦も心配ですねぇ・・・

投稿: よしG | 2009年3月10日 (火) 10:50

スネーク様
金沢はよく考えて工夫しているのが見えましたね。頭の良い選手だと思います。

他の選手は、あまり何歩先を考えずにプレーしているのか、投げやりに見えてしまうのかなぁ、と思いました。

精密機械のようなサッカーに変貌しているので、かみ合えば強いと思いますね。試合ごとの振幅が大きいような気がします。。

守備が個人の奮闘頼みなのは昔からの伝統ですかね(笑)

ギン様
面白さと強さを両立できるサッカーを実現して欲しいですね。きっとできる!

いおぞう様
試合の流れで慌ててしまう場面が目立ちますね。おっしゃるとおり、老獪になって欲しいと思いますね。
今のサッカーだと、展開力はGK、CBが発揮するのが理想なんでしょうね。昔のオシムジェフのように。けど、今のCBだと誰も厳しいですね。権田に頑張って欲しいです。

よしG様
はじめまして。コメントありがとうございます。
次はやってくれると、強い気持ちを持ちましょう!

投稿: fct fan | 2009年3月11日 (水) 06:47

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