平山が決めた&チーム移行の難しさ 柏vsFC東京 6月20日(土)
ハーフタイム。 平山に点を取らせてあげたいね、と話す。 まさか、後半開始40秒で希望が適うとは露知らず。
今年の平山は違う。 グアムキャンプを見た人たちの間での共通認識だった。 絞れた身体。 緩まない口元。 精悍な眼差し。
にもかかわらず、なかなか結果が伴わなかった。 彼の調子。 チームの調子。 アピールとチームプレー。 歯車がなかなか噛み合わない。 開幕前にかけた期待は幻だったのか?
けど、ここ数試合、トップ下や1.5列目で良い働きを見せ始めていた平山。 楔パスを収める確率が高まり、ロングボールでの競り合いも、以前よりタイミングが合うようになり、前線から、以前よりも献身的にボールを追うようになっていた。 得点こそ無かったけど、評価は高まっていた。
だけど・・・、いや、だからこそ、点を取らせたい。 それは自分個人の気持ちでもあるけど、もっと広い意味での要請でもあると思う。 "アイコン"として選ばれた宿命にある彼が点を取ることは、大袈裟に言えば、苦境にある(と言っていいだろう)日本のサッカー界にとっても良いことなのだ。 まぁ、そんなことより、彼自身がゴールを欲しているはずだし。
前半、鋭いドリブル突破から、そしてロングボールを受けた振り向きざまに、重い球質のシュートを放つ平山。 しかし、惜しくも決まらず悔しがる平山。 彼のプレー、彼の仕草を見て、気持ちはますます強まる。
そして迎えた後半開始早々。 平山の走りこむ先にカボレがヒールで出したボールを拾うと、小林祐三を弾き飛ばし、腰の入ったシュートを左足で放つ。 弾道が目の前に飛び込んで来た・・・。
良かったね、相太! また次も頼むよ!
ナオの得点は今回もすばらしかった。 出した後もスペースに向けて走り続けたことで生まれたゴール。 (第14節終了現在、石川の90分換算の得点(0.81)は、イグノ(0.77)やレアンドロ(0.79)よりも高い。)
そのナオのゴールをアシストしたのはカウンターで上がっていたブルーノ。 このことに端的に現れているとおり、また、大宮戦や川崎戦の後にも書いたけど、ブルーノにしろ今野にしろ、CBがあれだけボールを収められて、ビルドアップできて、パスセンスもあるのは本当に大きい。
中盤に対して、相手はFWとMFで起点を挟み込んだり、コースを切りながらサイドに追い込もうとする。 けど、最終ラインに対して中盤と同じようにプレスをかけるのは難しい。 まず、4対2(または3)で数的に不利だし、追いかけるエリアも広い。 プレスのかけどころが分散し、中盤にも連動してプレスをかけなければ効果は上がらない。 けど、連動する人数が増えると、難易度も高まる。 押し込んだとしても、相手はロングボールに逃げることができ、徒労を余儀なくされる。
東京の場合、今野もブルーノも足元がシュアで、CBとして繋ぎの技術は申し分ない。 相手を引き付けながら、その間に生まれた中盤のスペースに出したり、逆サイドに振ったりすることができる。 追い込まれても近くに梶山がいるし、梶山に出せなくても、ロングボールを蹴れば、平山とカボレが競ってくれる。
それでも柏にはノブリンこと石崎前監督のサッカーの遺産が残っていて、太田や菅沼の鋭い裏への飛び出しにロングボールを合わせたり、前半終了間際には激しいプレスと身体を張ったキープと意地の繋ぎから東京を苦しめた。 けど、逆に言えば、前半の柏はそれくらいしか出来なかった。
ところで、ノブリンが柏でやっていたサッカーと言えば、激しいプレス、素早い攻守の切り替え、サイドから内に切れ込んでいく切れ味鋭いショートカウンターが主体のサッカー。 2007年の序盤、快進撃を見せたものの、連戦が続くと徐々にトーンダウン。 2008年も好不調の差が激しかった。
他方、一昨年と去年、ちょっとしたブームとなった柏U-18。 そのサッカーはトップとは正反対で、エンドレスと言って良いほどの超ポゼッション志向だった。 昨年、スペイン遠征(ビジャレアル主催の国際ユース大会)でも結果を出した。 (大型左ウィングの指宿君(当時2年生)はスペイン2部ジローナに移籍。)
ノブリンサッカーをやり尽くした感のある柏トップ。 他方、内容と結果を出した柏U-18。 今シーズン前、柏がポゼッションサッカーに挑戦すると報道され、柏U-18から6人もトップに昇格させた。 ポゼッション路線への変更自体は妥当だろう。 問題は、それを実現できるかどうか。
で、シーズンが始まってみると、移行に難航し(当然だが)、ナビスコ杯予選の東京戦では、ほぼノブリンサッカーの切れ味にやられたけど、餅は餅屋。 今はどうにも中途半端な印象。 柏にはもうひとつ"戦術フランサ"があるとは言え、その魔法使いフランサも怪我がち。 なかなか厳しい。
まぁ、他所のことはこれくらいにして、東京だけど、東京も柏と同様にショートカウンターサッカーからポゼッションサッカーへの移行に取り組んできた。 不器用に、回り道もいっぱいしながら、痛い目にもいっぱい合っている。 けど、目的地をしっかり見据えながら進んでいると思う。 そして、今、間違いなく良いサッカーをやっていると思う。
けど、それをいつも発揮できるかは別の話。 ちょっとしたボタンの掛け違いで歯車が狂うこともあるだろう。 川崎戦の後半のように。
自力を蓄え、しっかり形を作るとともに、いかに試合の流れ、相手の勢い、自分たちの油断や冷静さの欠如をコントロールするか。 これからの上昇に向けた鍵。
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