« 伝統が形作られているのかな FC東京U-18vs横浜F・マリノスユース 7月12日(日) | トップページ | みんな頑張れ! サテライト 川崎vsFC東京 7月19日(日) »

2009年7月19日 (日)

風を掴め! 大宮vsFC東京 7月18日(土)

暑かった。 動けなかった。 苦しかった。 それでも、自分達のサッカーを見失わず、勝利を掴み取った。 選手たち、お疲れ様でした。

R0012021

得点こそ3-0だったけど、名古屋戦×2などより、ずっと苦しい試合だったと思う。

7日間で3試合。 (城福監督はインタビューで8日間と言っていたけど、12日(日)~18日(土)の7日間でしょう。) ターンオーバーなし。 蒸し暑い日々。 疲労も溜まっているだろう。

特に中盤の選手たちに、球際で踏ん張り切れない場面や、判断の遅れ、プレスを受けた状態で苦し紛れに味方にボールを預けるシーンが目立った。 そのパスも、微妙に弱かったり、受ける側も微妙に反応が鈍くて寄せきれず、相手に奪われることが多かった。 奪われた後のチェックもここ数試合では一番緩かった。

全体として、攻撃の形を作れず、シュートで終われず、守備でも、相手の攻撃の芽を早く摘みきれず、受けに回ることが多かった。 とても苦しい展開だった。

大宮の最終ラインは、前回の対戦時や、名古屋よりもしっかり人に付いて、こちらのアタッキングサードでの自由度は少なかった。 中盤も、しつこくチェックに来ていたし、ドゥドゥを含め、荒削りだけど、繋ぐ意識も強かった。 他方、一発の怖さは、ミドルシュートやアーリークロスに飛び込んでくる場面など、名古屋の方が上。 昨日はそんなヒヤッとするシーンこそ少なかったけど、こちらがジレると寄り切られかねない雰囲気は、名古屋よりも大宮の方から感じた。 

そんな中、東京の最終ラインは中盤に比べるとかなり動けていて、しつこく大宮の攻撃を跳ね返した。 ブルーノも今野も人に付くだけでなく、今野はパスの収まり時を狙ったカットが冴え、ブルーノも一対一での潰しに果敢なキープからの攻め上がり(攻撃というよりも、相手にすぐボールを明け渡さないという意味で重要なプレー)を見せた。 こういうプレーが味方の集中力を維持させ、試合を締めさせるんだと思う。 徳永も気の抜けたシーンやあやふやなプレーはなく、相手をしっかり抑え、すっかり頼れる"先輩"だった。 長友の運動量も驚異的。 有言実行とばかり、攻めにも果敢に参加し、これにはただただ感心するばかり。

中盤にしても、ここ数試合では一番緩かったにせよ、それなりにプレスが効いていた。 東京もなんとか踏ん張り、大宮の方が先に音をあげ、パスがサイドラインを割ったり、東京の選手の足元に届くことが多かった。 特に、マトが攻め急ぎ気味で、FWに合わないフィードや楔パス、攻め上がってからのスルーパスでポゼッションを断ち切ることが何度もあって、助かった。

そんな苦しい展開で、前半終了間際に生まれた得点。 この場面もラストパスは羽生。 カボレが競ったボールにきちんと寄せて拾い、平山へ。 すかさず平山が右足を一蹴! 反応の鋭い江角のニアを抜くシュート。 前半途中から明らかに苦しかった東京にとって、いい時間帯に大きな先制点。

その直前に大宮はドゥドゥからソ・ヨンドクに交代。 相対的に疲れの目立つ東京のMFに対し、中盤を厚くして優位に立ちたかったのか? それとも藤本に自由を与え、攻撃を活性化したかったのか? 前半終了間際ということもあり、いまいち意図を図りかねる交代。

カボレと新旧Kリーグ得点王競演となったドゥドゥは、昨日の段階では怖さは感じなかったけど、身勝手・無理なプレーはなく、攻撃の組み立てにも参加。 今後、FWとして何をさせて、どういう風にフィニッシュに絡ませるのか、使いこなすことができればいい選手だと感じた。 ソ・ヨンドクは中盤から速いドリブルで持ち運ぶシーンが目に付き、こちらも特徴を生かすことができればいい選手だと思う。 ただ、今の大宮の監督に、戦力をフィットさせ、使いこなすことについて中期的な見通しがあるのか、そもそものところが疑問。

後半早々。 少ないタッチでのパスを速く繋ぎ、東京に対して優位に立とうとする大宮。 この試合で一番ヒヤリとする場面だった。 ただ、その速さに東京以上に大宮自身が対応できず、徐々に尻すぼみに。 前半同様、東京が微妙な正確性を欠き、大宮が形を欠き、双方攻め切れない展開に。

そんな中、セットプレーからブルーノと今野の連続シュートで貴重な追加点。 ブルーノは直前にも惜しいシーンがあり、決まる空気があった。 前回対戦時にはマトに決められているので、決め返すことができて本当に嬉しい。

ナオは前半早々の江角に弾かれたシュートは惜しかった。 シュートのタッチは全然生きていると思う。 連続記録こそ途切れたけど、相手にとっての脅威であり続けることは間違いない。

FWはそれぞれの特徴を存分に生かした。 カボレは速さとリーチの大きさを、平山は大きさと強さを、(石川もスピードと嗅覚を)活かし、スペースに出したかなりアバウトなパスでも、高い確率で収めてくれるのは本当に大きい。

そして平山の変化。 終了間際のゴールも確実に走りこんで生まれたもの。 (併走する長友も空恐ろしいが。) これからの活躍も信じることができるプレーだった。

祐介は、例えば千葉戦で見せた前線からのチェインシングが昨日は見られず、現地のサポとしてはそわそわしてしまった。 ただ、状況判断として、大宮にやられそうな雰囲気でもなかったから、そこまで追い回すより、3点目を狙いに行くという考えもありかもしれない。 (また、明らかに無理だった失敗にまで野次が飛んだのは気の毒だった。) ただ、(気持ち的には)もっと、前線から相手を追い回して欲しかったのも確か。 ボールを奪わないことには点は取れないわけだから。

苦しかったけど、ここ最近とは別の意味での強さを感じた試合。 ここから先は未知のゾーンで、果たして今の調子がずっと続くのか、正直分からない。 けど、東京は多彩な攻撃を繰り出せており、簡単に対策できるチームでないことは確かだと思う。

夏もこれを続けて、上昇気流に乗って力強く羽ばたいていきたい!

|

« 伝統が形作られているのかな FC東京U-18vs横浜F・マリノスユース 7月12日(日) | トップページ | みんな頑張れ! サテライト 川崎vsFC東京 7月19日(日) »

サッカー」カテゴリの記事

FC東京2009」カテゴリの記事

コメント

こんにちは

ニュースではハイライトでいいとこばかりだったので実情が分からなかったですが、かなりきついゲームだったんですね。ブロ主さんの詳細なレポート、ありがたいですm(_ _)m

内容を見ると、やはり選手が代わった時にどのような対応ができるか、は大きな問題のようですね。単に個人の質が落ちるだけなのと、戦術にフィットしきれない状態ではものすごい差がありますから、監督も選手も目先の勝利も大事ですが、全体としてのレベルアップを念頭に置いて欲しいものです。

ただ優勝は無理でもACLを考えて3位に入って欲しい。ここがサポのワガママなところか。(以前4位までと勘違いしてました。一つは天皇杯優勝チームなんですね。失礼しました)

では失礼します。

投稿: てむ | 2009年7月19日 (日) 20:47

長友に関して言えば、疲れ画家まりたまっているように見えます。椋原とバランスよく使ったほうがいいでしょう。
今の東京は、速球派から技巧派に脱皮したピッチャーみたいなものですが、10年見た中で一番安定した強さがあると思います。大熊さんのときは「ビギナーズラック」、原さんのときは「勢い任せ」の感が否めませんでしたから。「鳥人間コンテスト滑空部門」を見ているようです。

投稿: しょういち@東京の空の下 | 2009年7月19日 (日) 22:24

とりあえずこちらだけ
前半からボランチの位置で、ボールが引っかかるのはお書きになった通りですね
後半に入って、危ない場面があったのもご指摘の通り

では、なぜ勝つことが出来たか
勝利に対する形が、選手たちの中に生まれていることであろうと思われました
別のブログで指摘されていることですが、最終ラインがラインを上げ、それでいてピンチに対応できる「ゆとり」
アンカーがゆとりをもって対応できるからこそ、失敗を恐れずに、前線の選手がリスクを冒してアタック出来る
これが健著に表れたのが3点目のシーンですね
夏の最中の、蒸し暑い夜に、平山、長友と一気に押し掛ける攻撃は、これまで見た覚えがないほど、重厚で、濃厚でありました
試合終盤にこれが出せる凄さ
勝利に向けての形が、こういうところで出てきたのは、大きな進歩といえます

これで公式戦8連勝、でもまだまだ足りない
首位を追い上げて、追い越すまでのパフォーマンスを見せてほしいものだと思います
(春先には降格覚悟なんて言っていた口で、何をかいわんやという感じではありますが(笑))

投稿: スネーク | 2009年7月21日 (火) 23:35

てむ様
個々の選手がそれぞれの特徴を活かしつつ、けど、今の戦いでも活きるよう、すり合わせが必要だと思います。
ACLは、天皇杯優勝チームが3位以内のチームの場合、4位のチームに回ってきますね。

しょういち様
長友は代表も含め、忙しいですし、突き進んでいますね。やり過ぎないよう、コントロールが必要ですね。
確かに今は史上最強東京でしょうね!

スネーク様
センターバックがラインを押上げつつ(=相手のプレッシャーを受けやすい)ボールを回せるのは、今野・ブルーノだからこそですね。
長友の上がりに関しては、3点目の場面は良かったと思いますが、上がること自体を是とするのではなく、よく状況を判断して欲しいと思いますね。

投稿: fct fan | 2009年7月22日 (水) 07:26

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 風を掴め! 大宮vsFC東京 7月18日(土):

« 伝統が形作られているのかな FC東京U-18vs横浜F・マリノスユース 7月12日(日) | トップページ | みんな頑張れ! サテライト 川崎vsFC東京 7月19日(日) »