勝ち(価値)ある試合 FC東京vs磐田 9月26日(土)
ここ数年、当ブログでは、FC東京と磐田を対照的な存在として描いてきた。
つまり、東京を、上を目指そう、強豪の仲間入りを果たそうとしているチームとして。 そして、磐田をプロビンチャに落ち着きつつあるかつての強豪として。 (例えば、ここやここ。)
昔からのサポと話をしていても、2000年~2004年にかけての8連敗や、国立で2-5で負けた試合、高原に4点取られて1-6で負けた試合が、当時の両者の差を現す象徴的な出来事として話題に上ることが多い。
他方、8連敗を終わらせた2004年2nd以降の対戦成績は8勝4分3敗。 栗澤、赤嶺というキラーの存在もあるけれど、チーム全体の力関係として、8連敗を喫した頃からは様変わりした。 無論、東京も順調に強くなっている訳ではないし、磐田も今年の成績は入替戦を強いられた去年より良いけど、5~10年のタームで見たら、このような見方は概ね共通認識だろう。
そういう構図において、さて、直近の状況は。
経営的に楽でないのはどちらも同じ。 ネスレ、飯田産業(本社は武蔵境。 ちなみに、レッズの袖スポンサー・トーシンの本社は吉祥寺。)に逃げられ、今年は親会社のロゴが胸に収まる磐田。 育成部門の統廃合も発表された。 東京も来年の胸スポンサーがどうなるか分からない。 カボレもキープできなかった。 (他方、磐田にはイ・グノが舞い戻ってきた。)
戦力的には、かつては文丈、浄、川口、福西と、磐田から東京に移籍するケースが多かったけど、今年は赤嶺、浄と、東京の控え選手に磐田がオファーを出すケースが相次いだ。 それは東京の方が良い選手が揃っているということか? イ・グノの(一時)離脱、ジウシーニョや上田康太(東京都青梅市出身)、松浦拓弥などの怪我により、必要性に迫られたという事情があるので、一概にそうとは言い切れないかもしれないが、昔であれば考えられなかったことには違いない。
前置きが長くなりましたが、昨日の試合。
到着が遅れ、前半30分頃からの観戦。 平山が戻って、高い位置でボールを落ち着かせることが出来た・・・、ということだろうけれども、具体的なシーンはあまり確認できなかった。 最初から観ていた方によると、見所の少ない前半だった模様。
ボールはスムーズに回っていた印象。 ただ、チャンスは少なかった。 その理由のひとつとして、受け手のシチュエーション(マークを受けている、前を向けない等)への配慮の足りないパスが多い気がする。 だから、ボールは回っても、その先に繋がらない、チャンスを生まない。
パスというものはただ繋ぐより、前を向いて視野を確保し、的確に先を判断し、プレーに移れる味方に出した方が良い。 また、受け手も、できるだけフリーかつ前を向いた状態でボールを受けたい。 無論、敢えて相手を引きつけるプレーも大事だし、平山などは相手を背負い、相手を引きつけて味方をフリーにするとともに、楔から配給役となることも重要な仕事なので、一概には言えないけれど、チャンスやシュートに直結するのは前に向いた時。 米本のロングシュートなどはその典型だろう。
そういう意味で、東京のパス回しは、やや袋小路に入りすぎるきらいがあり、ガンバや川崎などと比べて、まだ改善の余地があるし、改善できればチャンスや決定機も増える気がする。
さて、後半。 投入された磐田・松浦のトリッキーなドリブルがタメとなり、味方の攻撃参加を引き出す。 (他方、ディフェンスの対応は、西よりもやや軽くなる。) 東京も応戦し、試合がにわかに活性化する。
そして、中盤から前線に走りこんだ梶山に右サイドにいた羽生からスルーパスが出て、梶山が潰れてこぼれたボールを中の平山が繋ぎ、最後はファーサイドにいたナオがゴールにパスを出すようなシュート。 力強い流れで東京が先制!
前線に猛然と走りこんでいた梶山が素晴らしい。 このブログを含め、いろんな人がたびたび書いているけれども、最終列から最前線に至るまで今年の梶山の運動量は尋常ではない。 試合ごと、または時間帯ごとのバラつきが完全になくなった訳ではないけれど、そのキープ力、展開力と相まって、ピッチ上の王様です。
しかし、直後にCKから連続失点。 1点目は、インタビューで今野が言っていたけれど、そもそもCKを与えたプレーが良くなかった。 左サイドから侵入したイ・グノへの対応が遅れてしまった。 相手が力を入れてくる時間帯にこそ、こちらも一層集中をアップして対応したい。 また、2点目はイ・グノがドフリーだった。 まぁ、こういうこともなくしたい・・・。
ここから赤嶺、そして北斗・椋原を投入。 この交代劇が逆転の呼び水となった。 今週準備してきたことが実ったことを素直に喜びたい。 そして、準備を実現した選手達とスタッフに敬意を表したい。
一つ目に、椋原が右SBに入ったこと。 これまで椋原が高パフォーマンスを見せて、監督の信頼を得たからこそ、この時間帯に椋原を投入し、長友を前に上げるという配置が出来た。
かつての金沢、茂庭、ジャーン、加地(「いつもの」)が欠けると、藤山がその穴を埋めてきたけれど、健太が早くもそのレベルに達したのは素晴らしい。 (ユース時代の実績からして、当然という見方も出来るかもしれないけれども。)
二つ目に、このブログでも時々推してきた長友の高い位置での起用。 単純にシュートの意識が高く、かつ上手い選手だから、点が欲しい時間帯に前で使えば?という発想だったのだが、前述のとおり椋原がSBで長友・徳永と遜色のないプレーを見せられるようになり、実現した。
カウンターの応酬、両チームとも間延びし、組織的なディフェンスよりも個対個の局地戦となる試合終盤において、対人に強く、キレと速さと運動量を失わず、プレーを最後までやりきる長友の動きが、平均年齢の高い磐田のディフェンスを切り裂いた。
三つ目に、ボールをテンポ良くダイレクトに前に出す北斗のプレー。 鹿島戦ではそもそも能動的にボールに絡むことがほとんど出来ず、京都戦でも、リトリートして裏を固める相手に対し必ずしも有効ではなかった。 けど、磐田は前からプレスをかけるディフェンスで、裏への対応が弱い。 そして能括が不在。 さらに、試合終盤で動きが鈍い。 そんな磐田のディフェンスに対し、北斗のボール離れの良さは抜群の効き目だった。
テンポよくボールを出した先には、広いスペースが広がっていて、そこに猛然と平山や長友が走りこむ。 多少正確でなくとも、平山の体格と長友のスピードと勢いで繋がってしまう。 そして生まれた同点ゴール!
四つ目に、赤嶺。 これは書くまでもないだろう。 逆転ゴール!!!
ところで、ガンバ戦後、こちらを読んだ。 胸スポンサーを失い、カボレもキープできない状況。 物分りの良い東京サポが諦めの境地に至り、あるいはスタジアムから熱気が失われているのではないか、との懸念。 そういう面は間違いなくあると思う。
他方、苦しい状況だからこそ、琴線に触れる試合をすることで、東京サポのMっ気が呼び覚まされるかもしれない。
苦しい時こそ、戦い方の幅を広げ、戦力を引き出すための準備を。 そして、胸に迫る試合を! それが出来たこの磐田戦は、勝ち点3という結果以上に、とても価値のある試合だと思う。
追記
山形、舎人、J2やJFLには行っていません。 そろそろブログのサブタイトル変えた方がいいかも(笑)。
| 固定リンク
「サッカー」カテゴリの記事
- ケチャップどばどば→守備あれ? FC東京vsガンバ大阪 5月17日(土)、ナビスコ杯 FC東京vs清水 5月21日(水) ナビスコ杯 ガンバ大阪vsFC東京 5月24日(土) TV観戦(2014.05.27)
- 遠い得点 徳島vsFC東京 2014年5月10日(土)(2014.05.17)
- あぁ、もう。。。 FC東京vs大宮 5月6日(祝)(2014.05.09)
- 遠い得点… 浦和vsFC東京 2014年5月3日(祝)(2014.05.06)
「FC東京2009」カテゴリの記事
- おめでとう! FC東京U-18 Jユースサンスタートニックカップ優勝(2009.12.30)
- FC東京U-18大一番!(2009.12.27)
- フィナーレ 新潟vsFC東京 12月5日(土)(TV観戦)(2009.12.19)
- A Decade is Passing... FC東京vs神戸 11月28日(土) と 明日は最終戦!(2009.12.04)
- ご無沙汰しています! 千葉vsFC東京 11月22日(日) (TV観戦)(2009.11.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
最近、忙しそうですねw
大変だとは思いますが、あんまり無理しないよう頑張ってくださいね。
投稿: よっち | 2009年9月27日 (日) 23:38
あのエントリで大事なところが抜けてたのは、まさに東京サポの(サッカーを愛する全ての?)Mっ気の存在でしたね(笑)
あぁな展開にもなってしまうと、あれだけ深かった疑念も「とりあえず別にいいか」と思ってしまいました。所詮それは現実把握から目を背けるだけなのかもしれないですが、少なくとも「自分の健康」にとっては非常に大事なこと。そしてそれがもしかしたら全てなのかもしれません。
投稿: CHONO | 2009年9月28日 (月) 20:56
よっち様
ありがとうございます。頑張ります!
CHONO様
私はゴール裏にいたので、分からなかったのですが、あのエントリはとても示唆に富むものでした。
諦観は確かにあると思いますが、他方、Jリーグの客層のコア化が進む中でも、味スタは、ホムスタや等々力と並んで、相対的に一見さんが目に付くスタジアムなので、そういうお客さんは買っても負けても淡々としているのかな、とも思いました。
投稿: fct fan | 2009年9月29日 (火) 23:04