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2010年3月 8日 (月)

久しぶりの開幕戦勝利! FC東京vs横浜F・マリノス 3月6日(土)

僅かに加速し、小椋のスライディングを千切るナオ。 微妙なスピードのさじ加減だけでこんなに甘美な気持ちにさせてくれる選手はそうはいない。

内では赤嶺がニアで相手DFを引き寄せ、ファーで平山がフリー。 縦のコースを消そうと必死に戻る相手DFの逆を突くかのように、その手前を平山の足元に横パスが通る。 ダイレクトでズドン。

決まった瞬間、平山はもちろん、それ以上にナオが喜びを爆発させていた。 いろいろな思いがあったに違いない。 自身の怪我からの復帰。 高い期待を抱いて臨んだシーズンの開幕戦勝利を決定付けるゴール。 苦戦を強いられた試合での勝ち点3。 大きな価値のあるゴール、そしてアシストだった。

優勝争い宣言とは裏腹に、チームの要となる両ボランチと前年チーム得点王の負傷離脱、守備陣の代表召集、新戦力の融合など、不安要素に事欠かなかった開幕戦。

そんな中でも後ろ向きにならず戦えた一つ目の理由は、やりたいサッカーがはっきりしていて、そのサッカーに自信を持てていることだろう。 去年からいた選手はもちろん、森重や松下にしても、東京の(城福監督の)サッカーに魅力を感じて移籍してきた選手。 そこにブレはない。

二つ目の理由は、一つ目とも関連するが、守備に絶対の自信があったことだろう。 始動時、守備について、監督からデータに基づく説得力のある説明があった。 自信が耐える力を与え、プレーの迷いを排除し、実力どおりの、あるいはそれ以上の力を発揮させたような気がする。 結果的に刷り込まれていたのかもしれない。 選手はもちろん、メディアやファンも。

三つ目は、報道にもあったが、チームの雰囲気が良いことだろう。 チーム内で健全な競争が機能している。 90分間ピッチに立った森重や松下はもちろん、ヨングンやリカルジーニョがベンチ入りし、結果的に梶山とナオに頼ることにはなったが、誰がピッチに立ってもおかしくない。 コンセプトがはっきりしていて、そこに向けて努力すれば良いという分かりやすさが、チーム内の風通しを良くしているのではないか。 昨日の試合後、シャーを終えた松下が物凄く嬉しそうに駆けていたのが印象的だった。

試合は苦しかった。 中盤で相手のプレスをまともに食らい、タメを作れず、セカンドを拾えず、波状攻撃を受けた。

明大前の某ペーニャのリーダーが、ムービング・フットボールvsフィーリング・フットボールと評したが、木村F・マリノスは才能豊かな選手達が伸び伸びとパスを交換し、ピッチを切り裂いていた。 反面、ディテールを欠き、自由に動ける中盤ではともかく、選手が密集するアタッキング・サードでは効果的な形を作れなかった。

他方、東京。 360度から相手が迫ってくるボランチというポジションで、徳永は、サイドとは異質の試練を受け続ける。 それに対し、現時点で彼の出来ることをしたと思うが、キープ力、展開力、なにより判断の速さなど、あらゆる面で少しずつ精度・スピードが落ち、効果的な攻撃を組み立てることは出来なかった。

2列目が東京での経験が浅い北斗と松下だったことも割引かなければならないだろう。 北斗と松下は、最終ラインからボールが出る際、サイドに開いてボランチがボールを受けるスペースを作ったり、楔を受けるFWと入れ替わって、裏に抜ける動きを見せていた。 ただ、開いた後にボールを受けに絞る動き、攻守の切り替えの反応など、動き直しの質はいまいちで、まだまだ修正が必要な状況。

後半、梶山、ナオ、赤嶺と次々にカードを切る城福東京。 梶山のキープ力や視野の広さ、ナオの機敏な動きともさすがで、どちらも決勝点を生むために不可欠だったと思うけど、一番効いたのは赤嶺だったと思う。 ボールの収め方、そこからの味方への繋ぎ、相手DFと身体を入れ替えてのドリブルなど、とても良い動きをしていた。 この日、平山も達也もロングボールの競り合いで苦戦し、攻撃が寸断されていたけど、赤嶺が入ったことで、平山へのプレッシャーも減り、攻撃の出口が増えた。 そして、決勝点のシーンでも、赤嶺がボールを収めたところから攻撃が始まった。

とても価値ある勝ち点3。 同時に、今後の戦いが決して楽ではないことを予期させる試合でもあった。 紙一重のJリーグ。 「優勝候補」とは言え、チームの核を欠くチームが楽に勝てるほど甘くは無い。

ただ、それでも試合を勝ち点に還元する術を、チームが会得しつつあるのは、シーズンを見据え、大きな成長と言えるだろう。

アジアは現実化しつつある。

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コメント

僕も開幕戦の赤嶺のパフォーマンスに、今後期待せずにいられません。
88分前後の平山がゴールライン際を切れ込んで行ってシュート!のシーンでも赤嶺は2度入り直しの動きを見せてました。
決勝点のシーンでもいい意味で無難なポストプレー!
松下加入、背番号変更以上に彼に大きな変化が訪れるような予感がします。

投稿: パパロン | 2010年3月 9日 (火) 01:56

パパロン様
赤嶺良かったですね。点も取らせてあげたい。
大きな変化を感じます。
その土台の上で、明日も楽ではないでしょうが、久しぶりにレッズから勝ちましょう!

投稿: fct fan | 2010年3月13日 (土) 08:32

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