それでもこの試合に価値を見出すのなら FC東京vs名古屋 8月8日(日)
結果は出てないものの、内容は悪くはないと思う、などと言う段階はとうに過ぎているはず
「良いサッカーとか悪いサッカー」とは異なる次元で、「試合運びの巧拙」が課題として浮かび上がっている。
新潟戦後に書いたことが、そのとおり再現してしまった名古屋戦。
チャンスは作った。 シュートも打った。 試合を支配した。 ファイヤーワークスナイトで、お客さんも結構入った。 (自分も後輩を一人呼んだ。)
なのに・・・。 勝ち点3どころか、1すら最後に手からこぼれ落ちる。 悔しくて、残念で、痛恨極まりない。
それでも、この試合から何か価値を見出せないものか。 そんなことを考えていたら、一冊の本と、一本の新聞記事のことを思い出した。
「サッカーという名の神様」という新書。 世界各地でサッカーに魅入られた人たちの等身大の姿と、ちょっと心温まるエピソードを綴った良書だ。
その中で、とある大宮サポの話が出てくる。 大宮生まれのその人は、Jリーグが始まると、埼玉のサッカーファンのご多分に漏れずレッズを応援したらしい。 その後、Jに参入した大宮アルディージャも、地元ということで応援しだすが、レッズとはディビジョンが異なることもあり、二つのクラブを応援することは両立していた。
けど、レッズがJ2に降格。 応援するクラブどうしが競り合う状況が生まれる。 そんな時、彼が自らを大宮サポであると自覚した試合こそ、アルディージャがレッズにコテンパンに負けた試合だと言う。
J2ファジアーノ岡山の社長・木村正明氏を取り上げた2年前の日経の記事。 (以前紹介しました。) Jリーグ昇格に向けた過酷なJFLでの戦いの中で、一番社長の印象に残った試合は、ホームでの鳥取との中国ダービー。 最後の最後での失点で敗れた試合。 次のように言っている。
チームを支援する人々が負けた悔しさを共有することで、同じ船に乗った感覚になる。勝ったときとはまた別の高揚を覚える。あの鳥取戦に来ていたお客さんは サッカーにはまったのではないでしょうか。すんなりいくより、ときに浮き沈みを経験していった方が、百年続くクラブが築けるような気がします。
名古屋戦は、毎試合観る東京サポにとっては、勿体無い勝ち点を失ったたくさんの試合のうちの一試合に過ぎなかったかもしれない。 またかよ、いい加減にしようぜ、という気持ちで覆われるかもしれない。 自分もそうだ。
けど、もしかしたら、劇的な展開を目の当たりにし、不条理な結果と格闘しながら帰途に着いた人もいたのではないか。 それまで第三者的な視点で見ていたのが、悔しさを自分のものとして感じた人もいたのではないか。 頑張った選手達に共感し、このチームを応援したいという気持ちを新たに抱いた人もいたのではないか。
悔しさや嬉しさや共感を覚えること。 心震わす場面に身を置くこと。 日常では味わえない体験が人生に彩りを加える。 そういう体験を重ねることで、いつしか人は虜になっている。
選手は頑張った。 内容も悪くなかった。 結果こそ伴わなかったとは言え、名古屋戦は、東京に人を惹き付ける可能性を備えた試合だったと思う。
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コメント
御無沙汰しています。
まさに、ワタクシも、ワタクシの母も今は共にSOCIOとなった友人たちも、ボロボロに負けた試合で年チケの購入を決めたのでした。
日曜日は、3人のゲストを招待しました。
彼(女)らがもしもコレをキッカケにして東京仲間の一因になってくれるならば、仰るとおりそれは価値あることかもしれないと、記事を読んで思った次第です。
それでもやっぱり、勝ち試合を見せてあげたかったですし、何よりワタクシたちが、見たかったですね、、、。
投稿: あそぶ | 2010年8月11日 (水) 00:44
お邪魔いたします。
いつも拝見させていただいております。
ふと自分自身が『サッカー』というスポーツの虜になったきっかけが、
いわゆる“ドーハの悲劇”と言われる代表のイラク戦であったことを思い出しました。
どんな形であれ(もちろん勝利なら言うことないのですが)観る人間の心に深く刻みつけるような試合。
これこそがリピーターを生む一番の方法だと思います。
そして東京なら、そんな試合が多くできるチームであるとも思っています。
投稿: カツ(丼) | 2010年8月11日 (水) 01:26
あそぶ様
鹿島で、たぶん斜め横にいました(笑)。
勝ち試合見たいですね。きっと、良いことがあると思います。
カツ(丼)様
良い試合みたいですね。我々も試合を重ねると共に、観戦眼は高くなるかもしれませんが、要求水準も高くなりますし、いつも楽しみえるとは限りません。
けど、見始めた頃の新鮮な気持ちも忘れないようにしたいです。
投稿: fct fan | 2010年8月17日 (火) 01:01