カテゴリー「J2」の132件の記事

2012年1月 4日 (水)

天皇杯優勝、ACL出場、そして・・・ 天皇杯決勝 京都vsFC東京 2012年元日

自宅で年を越し、数時間仮眠した後、開幕戦以来ジャンドロを連れて元旦6時前に代々木門に到着。

初体験の並び、列詰め(2009年ナビスコ杯決勝は引越しでギリギリの到着、2004年はそういう仕組み自体を知らなかった(笑))。 知り合いの方々と挨拶したり、食べ物を交換したり、入場して席を取ったり、女子決勝で新潟を応援したり、けど、試合後はアイナックの挨拶にも現金にエールで反応したり、幸福な元日が過ぎていく。

キックオフ。 あっという間の90分だった。

決勝の東京は、準決勝までと比べても明らかに序盤から飛ばしていた。 イケイケな立ち上がりだったことについて面白かったとか、落ち着きを欠いたとか、プラス・マイナスの評価があるけど、準決勝までの京都の戦いぶりを見れば、また、CB秋本の不在を踏まえれば、早めに京都の裏をどんどん狙うのは当然だったと思う。 また、守備に入った時の京都は意外と粘り強く、対水戸、浦和、セレッソの3試合をいずれも1-0で勝ち上がってきた東京としては先制しておきたかったところ。 実際、ルーカスにボールがよく収まったことも相まって、チャンスやシュートコースがどんどん生まれ、東京ペースで試合が進んでいた。

しかし、先制は京都。 ドゥトラの突破を徳永と今野が詰め、一度は弾いたボールが運悪く中山の前に転がり、権田との1対1を決められた。 早い展開ゆえ、マークに付ききれなかった。 そういう意味で、東京のプランは失敗しかけたが、試合が落ち着く前に同点に追いつけたのが良かった。

CKを今野が頭で合せた同点ゴールは、ちょっと天皇杯・神戸戦での森重の決勝ゴールに似ていたけど、もっと凝っていた。 左CKで、ゴールライン際をキッカーナオに向かって走った羽生がショートコーナーを受けると、もう一度ナオに返し、ナオはCKよりも浅い位置からややファーに向けてクロスを放つ。 GKが飛び出せないボールだったうえ、森重が合わせるふりをしてスルーし、最後に今野。 正直、うちにこんなことが出来るのか、と驚いた。

そして、森重のロングシュートで逆転。 これまでも曲げるFKは何度も決めていたけど、北斗ばりの無回転気味のシュートは初見。 これにも驚いた。 そして、東京はいつの間にか、攻守においてセットプレーが苦手ではなくなっているような。

さらに、ルーカス。 相手ゴールキックを秀人が跳ね返し、反応したルーカスが抜け出し、GKとの1対1を決めた。 ルーカスの冷静さが際立ったが、京都のディフェンスもエアポケットにはまったかのような無防備な状態だった。

京都は密集を作り、相手ボールでは激しいプレスを仕掛け、マイボールでは相手の機先を制するボール運び(ドリブル・パス)でチャンスを伺う。 大木・甲府を見たときの清々しさを思い出した。

他方、その弱点は周知のとおり密集の逆サイドや裏にボールが運ばれた時。 誰か一人が全力でエリアを消し、人に付き、ディレイすることで辛うじて対応していたけど、この3点目、そして、後半の4点目の場面では綺麗に裏を取られていた。

その4点目の場面、東京側から見れば、珍しく最少人数で攻撃を完遂したカウンターだった。 普段の東京は、繋ぐサッカーが持ち味であり、手数が多い。 カウンターになりそうな場面でも、前線や裏に出すより、サイドや後ろに預けることが多い。 よく言えば厚みがある、悪く言えば遅い攻撃。 けど、この場面では本当に早かった。 あと1点で試合がほぼ決まるからそうしたのか、または、京都が相手だからそうしたのか、あるいは、ルーカスの動きがよくて早いパスを引き出したのか、はたまた、特段の意図はなかったのか。

個人的には、京都の弱点を踏まえてそうしたと思っているけど、いずれにせよ、早い攻撃、遅い攻撃を相手や状況に応じて使い分けることは、勝つこと、リーグ戦で安定した結果を残すこと、そして強いチームになるために絶対必要なことだから、4点目のシーンはとても嬉しかった。

J's GOALの馬場さんのレポートにもあるとおり、イケイケなヒロミサッカー、華麗なJFKサッカー、ひたむきなキヨシサッカーのそれぞれのエッセンスが今の東京には備わっていて、無論、まだ足りない部分(未知の部分も含め)もあるんだろうけど、それぞれをきちんと正しく発揮できさえすれば、かなり強いんだと思うことを実感できた決勝戦だった。

ACL出場について。

J2から、いきなり翌年J1とACLを戦うことは、いろいろ不安があるのは否めない。 けど、鉄は熱いうちに打て。 J2終盤~天皇杯を通じ、ある程度やれることは把握できたし、また、J1リーグの経験は十分ある。 上り調子のうちに、対戦相手、遠征、スケジュールなど、ACLの厳しさを経験し、昇華していくことは良いことかもしれない。 無論、リスキーではあるが。

他方、10才を挟む多感な時期をアメリカで過ごした自分にとって、世界と日本というのは人生のテーマで、政治・経済以上に文化面での共通性や相違、接点や交流ということに関心があった。

そして、フットボールクラブのサポーターとしては、自分と世界との距離感を、自分の応援するクラブを通じて感じること、クラブを世界に向けてアピールすることは、自らのアイデンティティ・欲求そのものと言ってもいいかもしれない。

過去にこんなエントリも書いたし、FCソウルとの交流戦への思い入れも深かった。 2006年2007年、2008年()。

ブリスベン、北京、蔚山。 全部行きたいけど、社会人は皆なかなか厳しいだろう。 出来る範囲で何とか・・・。

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2012年1月 1日 (日)

垣間見えた強くなって帰る姿 天皇杯 FC東京vsC大阪 12月29日(木)

西京極での絶望から1年。 草津での屈辱から7ヶ月。 J1復帰・J2優勝から1ヶ月半。 とうとうアジアを見据えるところまでやってきた。 あまりの急激な展開に、正直な感想としては、あっという間にやってきてしまった、という方が正しい。

J1総得点2位のセレッソ大阪との天皇杯準決勝。 浦和戦で見せた前線からのプレスだけでなく、攻撃の有効打数でもセレッソを上回る。 ルーカスがボールを収めナオが絡む。 羽生が切り開いたスペースを谷澤が運ぶ。 両サイドバックもポゼッションへ無理なく関与し、秀人が前後左右にボールを捌き、そして、何より無から有を生み出す梶山。

2、3回の決定機を生み、ビッグチャンスの2、3歩手前の形は何度も作る。 前半30分頃からポジショニングの乱れ等でややセレッソにペースを譲るも、完全に東京優位で進めた前半。

後半、一昨年U-18が三ツ沢で悔しい思いをさせられた杉本健勇から小松塁に交代。 さらに、左右に自在に移動し、素早いドリブルを見せる村田が入るとややセレッソペースに。 センターバックの片割れがモニだけあって、デフォルトポジションがやや引き気味のセレッソ相手だからか、もともとオフサイドの少ない試合だったが、両チームとも前後の距離がさらに長くなる。 さらに、サイドバックが後ろのスペースを埋めるのではなく、中に絞ってプレスするので、サイドのスペースが空く。

そして、ボールを受けた椋原が猛然とサイドラインタッチ際を30~40mドリブルしてボールを運ぶ。 詰まって中に戻すが、その時、相手の最終ラインを十分押し下げていた。 そして、梶山、秀人が余裕を持てるスペースが生まれ、ルーカスに繋ぎ、見事なポストから、フリーで前を向いた谷澤のボレーの一撃!

さらに、唸ったのは途中交代の3人。 特に下田、北斗の投入。 浦和戦の感想とのシンクロはともかく、まさに勝つための手。 最後までこの一点を守り、見事初の決勝進出を決めた!

昨年の平日アウェイ戦@キンチョーは屈辱の大敗。 正直、かなり心が折れた試合だった。 セレッソとて乾がいないなど、2010年と2011年とでは別のチームであり、比較はできないが、球際の強さ、セーフティとチャレンジの判断、集中など、東京の成長を感じたことは確か。

天皇杯決勝。 毎年、他チームの晴れ舞台を観る、半ば他人事の娯楽だった。 それが、東京にとってアジアへの一歩であると同時に、J2総決算ともなる試合となった。 そして、何より、強くなったことを全国の新春のお茶の間に示すための舞台。 京都が強かろうと、勝ち取れ! 絶対勝てる!

追伸:長居スタジアムを出てると尾亦の運転する車が出てきた。 「尾亦!」と声をあげると一瞬止まってくれた。 美しいクロスを必要とするクラブはたくさんあるはずだ。 頑張れ!

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2011年12月27日 (火)

お互いJ2のような・・・ 天皇杯 FC東京vs浦和 12月24日(土)

前半の東京は、プレスのハマり具合だけなら今年一番だった。 中途半端にパスを回す浦和に対し、ルーカスがGKに迫れば、羽生も連動してCBに圧力をかけ、両SHも相手SBをケアし、GKやCBからの苦し紛れのパスはタッチを割るか東京が拾う。

そこからのカウンターや展開の形もまずまず。 特に、ルーカスや羽生が楔のポジションで受けたボールを裏にづらし、ナオが走り込む形はシンプルでありながら効果的だった。

得点シーンは、バイタルを左から中央へルーカス→ナオ→ルーカス→谷澤→ナオと繋いで、最後は正面からナオがシュート! 繋ぎが淀みなくリズミカルで、浦和DFはパスコースに飛び込むことができず、人も捕まえきれなかった。

利き足が右のナオにとっては、左から移動しながらのシュートは打ち易かったはずだし、ある程度距離が離れていたので、シュートコースの角度も広かった。 理想的な形で先制。

ただ、この日の浦和の出来であれば、いくら相手に個の力があるとは言え、2点目を取りたかった。

後半は東京の出足が遅れたこともあり、浦和がほぼボランチポジションに下がったマルシオを中心にポゼッション。 秀人のピンチを摘み取るために急行する動きが目立った。 今野も、力強さはともかく、キレは戻っていた。 しかし、交代のたびに東京のプレスは弱まり、ブロックを築き跳ね返すことに専念する我慢の時間が続く。

大熊監督のコメントのとおり、梶山からの一本でセザーを浦和の裏に走らせたり、草民が高い位置で絡むことができれば有効なのは分かる。 けど、実際にはなかなかそんなシーンは見られず、結果としてプレスが弱まり、主導権を手放しただけだった。 久々の浦和戦勝利ではあるけど、前半のプレスはともかく、それ以外では東京にもかなりイライラさせられる内容だった。

原さんが理想的な攻撃パターンや得点シーンを描き、城福さんが理想的な動きや判断を描いていたのに対し、大熊さんは理想的な試合展開を描いているのかな、と思った。 確かに、前半はハイプレスからのショートカウンターで先制、後半は相手にポゼッションを許すも、前がかりの相手の裏を一本で突いて追加点というのは美しい展開。 不調とは言え、セザーの一発の速さは怖いし、実際、湘南戦でも決めている。

リーグ戦であれば、目先の結果を求めるだけでなく、連携を深めることとか、今後のことも考える必要があるのは分かるけど、シーズン最後のトーナメント戦ではより現実的に戦って欲しいな、というのが正直なところ。

次のセレッソは、守備はともかく攻撃であれば、浦和の比ではないと思うから。

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2011年12月24日 (土)

コンノノコト パート2 天皇杯 水戸vsFC東京 12月17日(土)

結果が重要な試合で勝ったのだから、本来、それ以上何も言うことはない。

ただ、多くの東京サポ同様、チームとして試合に入って行けていない様子を感じ、渦中の人のぎこちなさを感じた。

そして、その移籍に関してだが、当然のことだが、本人の意思を尊重するしかない。

いろいろ考え出したら、嫌だ、悔しい、という感情や、J2に落ちても残ったのに、J1に上がる年になんで? しかも、監督選びでガタガタしているガンバへ?という思いもある。

けど、言えることは、札幌からの移籍先に恩師岡田率いる横浜F・マリノスでなく東京を選び、アジアに出ていた浦和やガンバに誘われても東京に残り、浦和とは合意に達しそうだった年も東京に残り、J2に落ちても(代表レギュラーなのに)東京に残ると判断したのは今ちゃんだ。 そして、その間、W杯に出場し、代表レギュラーの座を自分の手にしたのも今野だ。

その今野が、今回どう判断しようと、傍目にはどうかと思う判断であったとしても、尊重するしかないのではないか。

また、今野に東京が見限られた面はあるかもしれないが、年俸やメンバー構成、契約期間と移籍金を得られるタイミング等を踏まえ、語弊のある言い方だが東京が今野を見限った面もあると思う。

今野自身にもまだ甘いところはある。 もっと試合に集中して欲しいし、札幌戦の緩さや水戸戦のあたふたした感じはどうかとは思う。 けど、そういう部分も含めて今野なのだ。 もしかしたら、そういう甘さに見える部分が有利に働き、彼のキャリアを築いてきた面もあるのかもしれない。 そんなことは一サポーターには分からないし、クラブのスタッフやチームメイト、代理人にも分からないだろう。 本人すら自覚してないかもしれない。

とにかく、そんな今野が東京で勝つ試合を一つでも多くみたい。

今日は勝って欲しい。

コンノノコト(こちら→http://fct-fan.air-nifty.com/fct_fan/2005/07/post_4a39.html

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2011年12月11日 (日)

J2 Final 札幌vsFC東京 12月3日(土)

札幌にとって昇格のかかった大一番。 東京(サポ)にとってもJ2フィナーレ。 4万を超える動員。 今年のJ2はおろか、J1を含めてもイベント価値の高い一戦。 そんな試合を現地観戦することが出来て本当に良かった。

けど、試合は、力負けだった訳でもどうしようもないミスがあった訳でも無気力だった訳でもないけど、力を発揮しきれない前半の展開にかなりイライラ。 (去年のアウェイ新潟戦を思い出した。 2-0から今野の意地のゴールで1点返したものの、1-2で敗戦。 やれるならもっと早くからやれよ!と言いたくなる、力の入れ所が噛み合わない展開。)

1失点目は、普段なら相手を攪乱する草民のドリブルに移行するまでの一瞬の間が逆に災いしてしまい、ボールを奪われ、既に形が崩れていた最終ラインを突かれた。 2失点目も、今野がユースケにやられた。 いずれも最後は内村に決められた。 (大宮の石原とか、こういうオールラウンダータイプ苦手だな。)

ハイプレス、ショートカウンターという、柏時代から変わらないノブリンサッカーの切れ味が凄かった訳だけど、分かりきった展開にまんまとハメられてしまったのは、ちょっと残念だった。

ただ、この試合を負けたことをもって、東京が成長していないなどと言うつもりはない。 後半、慌てても仕方ない場面で、集中を切らさず、冷静さを失わず、徐々に悪い流れを変え、打開していけた。 (札幌サポの「やっちまえ!」コールに対し、少しは返せて良かった。)

最初から相手のプレスをいなす戦い方、ハイテンションに付き合わない展開に持ち込めれば良かったのだが、まぁ、90分全体としては、札幌は意気込みを褒めるべきだろう。

柏、C大阪、広島に共通すること。 それは、J1昇格の年に上位進出をしたことだけはない。 2回降格していることだ。 東京がそこに並ぶことがないようにしないといけない。 決して容易いことではないと思う。

試合後の、196人のmkny finalは最高に楽しかった! 幹事の方々、この日、そして一年間ありがとう! 来年も!?

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2011年12月 1日 (木)

強さに向けて FC東京vs千葉 11月26日(土)

用事(葬儀参列)が予想外に延び、眠らない街が聴こえる中味スタ到着。 席に着く頃に試合終了。 平松のトークと大熊監督の挨拶には間に合った。

よって、試合はTVで見直したのだが、消化試合らしく、悪くはないものの決め手を欠くままなんとなく過ぎたような前半と、少しネジを巻き直した後半。 相手に退場者が出た後、カウンターの応酬から、中を羽生、セザー、ルーカスと繋ぎ、ルーカスが巧みなステップで抜け出してキーパーとの1対1を決めてゴール。 梶山のいない東京がオーロイ、ミリガンのいない千葉に1-0で勝利。

最近の梶山は、自身がインタビューで述べているとおり、組み立ては秀人に任せ、よりフィニッシュに近い位置での味付け役としてプレーしている。 よって、梶山不在が攻撃パターンに影響を与えることは以前よりも少ない。 それでも、東京はこの日も、サイドに縦や斜めパスを通してえぐったり、中を繋いで行ったり、ロングフィードを合わせたり、千葉と比べても遥かに引き出しが多いのが分かった。

他方、前回も書いたとおり、広島のワイドでダイアゴナルな攻撃、セレッソの創造性溢れる二列目、柏の的確で流動的なポジショニングのような、攻撃面での特長が見えないのも変わらなかった。

ただ、個人的にはそのこと自体はあまり悲観していない。 というのも、良いサッカーは、ある程度突貫でもできると思っているし、むしろ、「良いサッカー」というものの「旬」が短くなり、スイートスポットの小さいデリケートなものになる中、そして、西野、ペトロビッチ、クルピがそれぞれチーム去る今、そこに過度に依存することのリスクを感じる。

むしろ、一体一で負けないとか、波を減らすこととか、冷静さとか、そういうサッカーの本質という、どんな状態の時でも頼りになるものをベースに、戦術を継続的に最適化し続けることが大事なんだろうな、と思う。

そして、なんとなく、鹿島の強さってそういうところにあるのかな、と思う。

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2011年11月25日 (金)

2010年12月4日 - 2011年11月19日 鳥取vsFC東京 11月19日(土)

2006年か2007年頃のことだったと思う。 JFL公式ガイドブック(毎年、武陸で買うのが恒例だった)を眺めながら、SC鳥取の集合写真に鬼太郎(の着ぐるみ)も写っているのに気づく。 当時、FC東京でも既に鬼太郎デーをやっていたから、対戦すれば鬼太郎ダービーだな、などと思った。 まさか、数年後にFC東京とSC鳥取(→ガイナーレ鳥取)がリーグ戦で対戦することになるとは。。。

もともと、鳥取戦はTV観戦のつもりだった。 土日とも昼間に用事を入れていた。 けど、水戸戦で昇格が確定せず。 やはり、その瞬間を見届けたい。 なんとか旅程を組んで現地へ。 ほぼタッチ・アンド・ゴー。 蟹は食べられず、現地の観光振興にもあまり貢献できなかったけど、行って本当に良かった。

試合は東京ペースで進む。 ただ、ブロックの外をしっかり繋ぐ反面、相手選手の間への楔パスが入らず、得点の香りはあまりしない。 まぁ、無理せずじっくり攻めていけば自然にチャンスを作れるし、この時間帯はリスクマネジメントを優先していたのだろうけれども、消化不良に感じるのは贅沢な悩みか。 そんな状況でもモリゲのFKで先制。 本当に素晴らしい飛び道具。

後半は羽生の繋ぎからルーカスがステップから一瞬の隙を突いて、相手DFの垣根の間を抜けるグラウンダーのシュートが決まる。 さらに、セザーがドリブルで相手を押し下げて作ったスペースに走り込んだ谷澤が(ふかさずに)決めて3-0。 さらに達也が巧みなコースを走ってスルーパスを引き出し、さらに巧みなドリブルからシュート角度を作って4-0。 達也はやはりFWだ。

パスミスから粘られて1点返されるが、最後は達也のシュート(この時点で割ってなかった?)がクリアされたボールを上里が決めて5-1。

文句なしの昇格決定。 翌日、2位鳥栖が北九州に敗れて優勝も決定。 FC東京として初のリーグタイトル。

思い返すと、嬉しいとか、ホッとしたとか、とてもひとことでは言い表せられない。 長かったし、辛かった。 他方、遠征・グルメ・観光など、かなり楽しんだのも確か。 楽しまないとやってられないという面もあったけど、切り替えるのも能力の一つで、そういう点で手前味噌だけど自分の周りの東京サポは皆すごいなと思う。

他方、サポの立場を離れ、チームとして考えた場合、落ちて失ったものは大きいと思う。 スポンサー、年間チケット購入者(個人、法人)、マスコミの露出、プライド、赤嶺、大黒、ヨングン(ヨングォン)、東、永井・・・。 今野、森重などが残ったのは本当に幸運だった。

一般論として、J2に落ちていいことなんてひとつもないと思う。 もっとも、現実には上にいればそれだけで無条件に良いという訳でもないだろう。 残留争いに巻き込まれ、理想よりも目の前の勝点という現実に対応しなければならなかったり、メンタル的に追い込まれたり、積み上げどころではなくなることもあるだろう。 去年のウチがまさにそうだった。 今の山形なども、ピッチ内外がゴチャゴチャしてしまっている。 同様に、J2でも、昇格争いに付いていくのに必死で、理想どころではなくなる場合があるだろう。 結局脱落してしまった千葉のように。 結局、どのリーグにいても、チームを良い状態に置いてきっちり試合を重ねていくことが大事なのだろう。

その点、東京は序盤こそ苦労したけど、軌道修正した後は概ね順調に昇格への道を歩んだ。

その間、戦術的な上積みは限定的だったと思う。 ピッチ上から見えるものから判断する限りでは、ポゼッションでリスク管理しつつ、揺さぶりや個人技からゴールを奪い、代表級のDFで試合を終わらせるという、城福サッカーの延長線上のもので、正直、広島やセレッソ、柏のような、際立った特長や武器は見えない。

それでも、東京は意義のある一年を過ごしたと思う。 それは、各種記事やレポートでも明らかになっている「自立」とか「本質」と言う面で大きく成長したと思うから。

「自立」は、承知のとおり阿久根社長が言ってたことで、自分の頭で考えて、味方ともコミュニケーションをとって、修正して、順応して、チームとして戦う態勢を作っていくこと。 「本質」は、大熊監督の言っていたことで、球際の厳しさとか、1対1で負けないとか、あきらめないとか、気持ちとか、冷静さとか。

後半追加点を奪えなかったホーム岡山戦とか、ロスタイムにやられたホーム大分戦とかもあったけど、全般的には、シーズン中盤以降、試合中に雑になったり、焦って自滅することが減ったと思う。 丁寧に攻めて終了間際に勝ったアウェイ横浜FC戦や天皇杯・神戸戦などは最たる例。 鳥取戦でも、1点返された後にしっかり追加点を奪った。

選手たちは、異口同音によく話をするようになったと言っている。 それが相互信頼や試合運びの改善に表れているのだとすれば、そして、J2に落ちたことが、コミュニケーションの改善のきっかけだったのであれば、J2に落ちたことにもいくばくかの価値はあったのかな、と思う。

東京は、2004年のナビスコ優勝、2005年シーズン前に朝日新聞に掲載された「Hop Step Champ!」広告あたりで右肩上がりが終焉。

博実のリアクション・ショートカウンターサッカーは迫力と切れ味があって華やかで、楽しかったけど、相手を崩す工夫があまりなく、引いた相手やプレッシャーをかわしてくる相手には弱かった。

そこで、2006年、「磐田のような」サッカーがしたくてガーロを招聘したものの、前年まで「ボールを持てばサイド」状態だった選手達の適性との相性は当然良くなかった。 2007年ヒロミの再登板でも展望は開かなかった。

そして、東京の切り札(村林前社長談)だった城福さん。 年代別代表での成果を引っさげ、新たにムービングフットボールと言う名のパスサッカーを導入。 多色ビブス練習や各局面で常によりベターな判断を求める指導で、選手たちを解きほぐし、魅力的なサッカーを実現した。 けど、リーグタイトルを意識して臨んだ3年目は相次ぐ怪我人等で急失速、後任の大熊さんも立て直せず、まさかの降格。 また、選手たちは監督に依存し、その姿勢は降格するまで変わらなかった。

通して見ると、結局、足りないものが明らかになり、埋めていく繰り返しの歴史だったのかなと思う。 今年も、一義的にはJ1昇格とJ2優勝を果たした。 加えて、足りない部分の改善に務めた一年だと考えれば、長期的な流れの中で見ても、意義のある一年だった。 大熊さんは良い仕事をしたと思う。

もっとも、今年の本当の評価は、最終的には来年以降どれだけ良い成績をおさめるか、もっと言えば、苦しい時期でも選手たちのコミュニケーションや冷静さでどれだけ打開していけるかによって決まってくるんだと思う。

まぁ、いずれにせよ個人的には楽しいJ2の一年だった。 そしてJ1に上がったらもっと嬉しい!

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2011年11月18日 (金)

いろんな歴史や思い 天皇杯 FC東京vs神戸 11月16日(水)

久々のJ1との対戦。 相手は昨年残留を争った神戸。 直接対決でも、W杯16強後の再開初戦で2-0でリードしながら最後の最後に追いつかれた。 逃げ切っていれば、数字的にはJ1・J2の立場が入れ替わっていたはずの相手。

また、天皇杯での神戸との対戦と言えば、2003年の丸亀。 アマラオラストの試合。 阿部のゴールで追いつき、阿部のPK失敗で敗れた試合。 個人的には、初の遠距離遠征で、選手と同じ飛行機で帰ってきた印象深い試合。

さらに、天皇杯でのJ1とJ2の対戦と言えば、去年の千葉戦。 草民、大竹、前俊、ヨンドクなどがボールと遊ぶようにプレーし、ミスも多かったけど、点差以上の完勝。 個人的には、東京の出来以上に、(メンバーを落としていたにせよ)千葉の弱体化が気になった。

果たして東京は、前年の千葉のように劣化してしまっているのだろうか。 いろんな意味で神戸に雪辱(選手などはそんな意識はないだろうけど)できるのだろうか。

試合開始後、神戸の速さはJ2とは違った。 ボールを前へ早く運ぶし、前の選手にどんどん入れてくる。 人を掴まえる前にどんどん回してくる。 プレスも横から挟んだり、FWがプレスバックする以上に、正面からどんどん圧力を受ける。

途中から少し神戸もペースを落としていたけど、それでも、CKをキャッチしたGKがパントする時など、こちらが戻りきる前に襲いかかろうと、5、6人が全速力で上がっていくのは迫力があった。 (それに対し、同様のシーンでの東京は、なんとものんびり。 こういうところは、博実の頃から変わらない。 いや、それよりも昔?)

もっとも、前からのプレスが激しい分、最終ラインは薄くなる。 J2では、最終ラインに相手選手がべったりいて人垣を作っているのに対し、昨日の最終ライン付近には広いスペースがあった。 前線の動き出しに合わせやすい状況で、森重のロングフィードがいつもよりバンバン決まっていたし、梶山もいつもより前方パスを出しやすそうだった。

草民のドリブルや秀人のディフェンスは通用していた。 J2では通ってしまう緩い長めの横パスがカットされることが多かったけど、徐々に感覚を修正して終盤には対応できていた。

あと、坂田も、実戦での連携はまだまだだけど可能性も感じた。 特に、最近出ている選手では一番前線でボールが収まるので、それを周りと活かしていきたい。

神戸は、ポポが力強く、起点にもフィニッシュにも絡み、吉田も相変わらず速くクレバーだった。 大久保のスペースを意識した動きや、ワンツー、動き直しの質も相変わらずレベルが高かったけど、昨今流行の速いサッカーからすると、ややクラシカルな印象だった。 いずれにせよ、彼らが少人数でラインを押し下げ、そこに複数の選手がフィニッシュを意識して走り込む形はJ2にはない迫力があった。 試合も凄く短く感じた。

全体として、メリハリを付けて時々ペースアップした繋ぎで押し込んでフィニッシュにかかる神戸と、高い個人能力とつなぐ意識でじわじわ攻める東京ががっぷり四つ。 神戸が10人になってからは東京が圧倒。 流れで決めたかったけど、CKで勝利。

まぁ、能力の高い選手たちが水を得た魚のようにプレーしていた。 J2にどっぷり浸かる前に、1年で帰れそうで本当に良かった。 来年、強くなってJ1に帰れるかはともかく、力を発揮できれば勝負にはなるとは思う。 で、力を発揮できなかったことが昨年降格した最大の原因だった訳で、そういう意味では新たに何かを得てJ1に帰れると思う。

次はガンバ!と思ったら、水戸。 場所も気になる。。。

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2011年11月14日 (月)

「事実上」の昇格をたぐり寄せた到達点 FC東京vs水戸 11月12日(土)

最終ラインで回したり、ボランチに当てて戻したりしながら、徐々にサイドを突き、相手ブロックを広げる。 そのままサイドのスペースを突いたり、薄くなった中を運んだりしながらアタッキング・サードに侵入する。

意図はよく見えるし、実際、たびたびチャンスの手前にまでは行くのだが、3人目以降の意図的な動きは希薄。 止まった状態からでも一人で運んでいける草民もいないので、一層、攻撃が綱渡り的なパスが中心となる。

この辺は良くも悪くも城福さんの頃から変わっていない。 城福さんの時代、アタッキング・サードの判断は「チーム戦術」ではなく「個人戦術」(技術を見せろ!)に分類されていた。 今も、大事なのは個々の選手の時々のアドリブ的判断。 広島や柏のような決まり事とは対極の世界。 どっちが良い悪いではない。 こういう進み方もありだとは思う。 ただ、そのための選手の判断力も、「チーム戦術」の上位にあるべきチーム内の共通認識も、もっと積み上げていく必要があると思う。

羽生とか、ルーカスとか、秀人とか、秀才型のサッカー頭の良い選手が増え、梶山や草民のような天才タイプもいる。 谷澤はシュートミスが目に付くのと、やや臆病だけど、動きの質からはサッカー頭の良さを垣間見せることが多い。 今野はCBになって格段の進化を見せ、今年は徳永や椋原の進歩が目覚しい。 そこにナオやセザーの爆発力を組み合わせる。 進むべき方向として、メンバーが固まるのも自然かな、と思う。 また、ノースは今野と見紛うくらい良かった。

両ボランチ梶山と高橋は、同じボランチとは言えないくらい役割を分けている。 もはやフォアリベロと読んでもおかしくないくらいの秀人。 他方、梶山は後ろから前まで凄まじい運動量。 パスを出してどうにかしようとするより、もう一度ワンツーを受けようとしている。 完全にボールの出し手から受け手に変わった。 ゴール前での判断や技術には相当甘さがあるけど、再び発展途上とも言える。 これから伸びるのが楽しみ。

羽生のコメントを読んでも、パス回しがしっくりいっていないようだ。 「個人戦術」への依存度が高いチームでは、必然的に好不調の波が増幅される。 悪いなりに試合運びを合わせるのもサッカー頭の良さ。 この辺でも成長が必要。

また、セザーのようなプレーが異質な飛び道具をどう使いこなすか、この日のゴールシーンのように、裏を狙わせるのがいいが、そのためには相手が引いてスペースが消される前に早めに判断して出す必要がある。 また、本人の裏に抜ける意識が低いのも難しい。

そんないろんなピースを組み合わせてやってきた一年。 ほぼ昇格を確定させた。 優勝も有利となった。 来年、今年の柏や去年のセレッソ、一昨年の広島のように躍進出来る手応えは全然ない。 けど、自立という意味では有意義な一年で、話し合いとか、そういう習慣を通じた伸びも、まだまだ期待している。

そんな姿に見える、昇格を「ほぼ」決定づけた東京。

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2011年11月10日 (木)

組織と個人 湘南vsFC東京 11月6日(日)

この試合を見て、組織サッカーにおいて古典的なテーマである、組織と個人について考えてしまった。

ボール回しの核となる両ボランチとセンターバックが不在。 さらに、ボランチで出状するはずだった徳永も怪我でベンチ入りせず。 代わりは羽生と「試合当日のキックオフ2時間前にボランチでの先発を申し渡された」(ワッショイメルマガ)という下田。 字面だけを見れば、そんな状態でよく勝てたと思う。

無論、個々の選手たちの頑張りは大きかった。 前述の下田はスペースを埋めるだけでなく、身体の強さ生かしてゴリゴリ相手に付いたりもした。 ジェイドは高さで不安を見せず、前に潰す動きもよかった。 パス回しでは、レギュラーには至らなかったけど、全体として評価できる働きだったと思う。

得点シーンでは、谷澤が、競ったボールがゴールラインを割るギリギリで拾い、俊敏な動きから、意表を突かれた相手の守備がセザーに付ききる前に正確なクロスでアシスト。

さらに、北斗がドリブル突破から、囲まれ、倒れ込みながらも、強さを示してボールを失わず、セザーへラストパス。 決勝点をアシスト。

何より、ここ数試合無謀な突破を試みては失敗を繰り返すばかりだったセザーが2点決めた。

羽生は、この日は笛との相性が悪く、スライディングタックルがことごとく吹かれ、PKまで取られてしまったけど、懸命に潤滑油の役目を果たしていた。

みんな本当によく頑張った。

けど、頑張って勝てるなら、そんな楽なことはない。 通常、それだけでは勝てないから、工夫し、悩むのだ。

東京で言えば、繋ぐサッカー。 ボールを保持する時間を最大化することで、チャンスを伺う場面を増やすとともに、相手を疲れさせ、守備の安定を保つ。

組織力、あるいはチームの戦い方・カラーを深め、連携を高めることは、シーズンを通じた安定した戦いのために、個々の試合を有利に運ぶために必要。

けど、各チームがそれぞれ連携を深めている中、そこで差を付けるには限界がある。 また、メンバーの違いや調子で、必ずしも実践できないときもある。 この日も、普段より組織力が劣っていたのは否めなかった。

良いサッカーをするだけでなく、勝ちきるためには、相手と差を付ける決定的な要素が必要。 そして、この試合でも物を言ったのが個の力。

個の力と言っても、無双な選手がいればいいけど、そんな選手は滅多にいない。 むしろ、ピークパワーが劣っていたとしても、どのタイミングで発揮するのか。 勝負どころを目を見る目。 プランを遂行する力。 臨機応変な対応。 試合運び。 さらには、冷静さ、集中力、チームワーク、気持ち。 そして幸運。。。

結局、すべてが大切であり、どれかだけに偏っていても、数試合は勝てても、本当に強くはなれない。 そういう意味で、北斗のようなプレーが、主力を欠いたこの試合で生まれたことは本当に価値のあることだと思う。

次も森重が不在。 今年は何とか全試合出場を果たして欲しかったけど、誰が穴を埋めるのか。 楽しみが尽きない。 そしてその先にある昇格、優勝を目指してあともう少し。

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